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エネルギーと環境

Vol.05 発電効率63.08%で「世界最高効率達成」!中部電力西名古屋火力発電所

写真)西名古屋火力発電所発電設備
©エネフロ編集部

まとめ
  • 中部電力西名古屋火力発電所が、発電効率63.08%を達成。
  • コンバインドサイクル発電設備として世界最高効率を達成した。
  • 高性能な火力発電所は今後世界各国で益々必要とされるだろう。

日本の火力発電所の発電効率が高いのは知っていたが、つい最近、その発電効率で世界最高効率が生まれたと聞いてどこの発電所だろう、と思っていたら、記録を達成したのは中部電力の西名古屋火力発電所だというではないか。早速、話を聞きに向かった。

西名古屋火力発電所は、1970年に石油火力発電所として営業運転を開始、設備の高経年化に伴い、二酸化炭素排出量と燃料使用量の削減を目的に高効率発電設備への更新を進めてきた。

そして今年3月、中部電力株式会社と東芝エネルギーシステムズ株式会社は、中部電力西名古屋火力発電所7-1号において、コンバインドサイクル発電設備として世界最高効率となる発電効率63.08%(低位発熱量基準(注1))を達成したのだ。早速、中部電力株式会社 発電カンパニー 西名古屋火力発電の長尾和彦所長にこの発電所の特徴を聞いた。

自由化に勝ち抜く為の重要な電源というのがこの発電所の一番の特徴になりますね。その為に熱効率を追求し、競争力をアップしています。しかも環境に優しい、というのがこの発電所の特徴です。」

CO2を排出しない再生可能エネルギーに注目が集まるが、調整電源として火力発電はこれからも必要とされ続ける。従って、その火力発電所のCO2の排出量はやはり削減する必要があるのだ。

写真)中部電力株式会社 発電カンパニー 西名古屋火力発電所 長尾和彦所長
写真)中部電力株式会社 発電カンパニー 西名古屋火力発電所 長尾和彦所長

©エネフロ編集部

西名古屋火力発電所7-1号は、3台のガスタービン(ゼネラル・エレクトリック社製)に対して1台の蒸気タービンおよび発電機(いずれも東芝エネルギーシステムズ社製)を組み合わせた「多軸式コンバインドサイクル発電方式」と呼ばれる方式を採用した発電設備だ。新しい方式が故に、その建設にはさまざまな苦労があったはずだ。世界で初めて立証するマシーンであるが故に、試運転段階で非常停止があったりしたという。ピーク時には作業者は2000人に上り、延べで100万人弱の人が関わっていたというから如何に大掛かりな工事かわかる。

写真)西名古屋火力発電所
写真)西名古屋火力発電所

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図)コンバインドサイクル発電のしくみ
図)コンバインドサイクル発電のしくみ

提供)中部電力

写真)中部電力株式会社 発電カンパニー 西名古屋火力発電所 長尾和彦所長と筆者
写真)中部電力株式会社 発電カンパニー 西名古屋火力発電所 長尾和彦所長と筆者

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写真)発電設備
写真)発電設備

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写真)西名古屋火力発電所外観
写真)西名古屋火力発電所外観

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工期もかなりタイトだったという。

「この発電所が環境アセスメントの手続きに入ったのが2011年の3月10日でその次の日が3.11だったのです。震災以降原子力発電を取り巻く環境が厳しくなったことから、電力の供給力確保が重要となり、工程を大幅に前倒ししました。

今後の課題は何だろう。

「このプラントを少しでも長く、高稼働率で、高い性能で維持していくのが我々の使命です。そのために、メンテナンス費用の低減、定期点検工期の短縮などが課題と考えています。」

発電所内を見て一番驚いたのは、中央制御室だ。少人化がものすごく進んでいるという印象を受けた。

写真)中央制御室
写真)中央制御室

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「昔は、制御室が3つありまして、同じ出力、約220万くらいの出力だったのですが、トータルで90人弱の運転員がいました。今は、1グループ3人で4グループ、合わせて12名で対応できるシステムになっています。」

省人化も徹底しているのだ。そしてなんといっても西名古屋火力発電所はLNGを使っているのが特徴だ。

「LNGは熱効率の面で良いのです。効率の良いプラントが作れます。一方で、石炭は価格が一番安い。でもCO2が出る。今後、(燃料は)バランスを取りながらやっていきます。」

LNGは石炭同様、供給地が多様なので、石油と比べてエネルギー安全保障上、有利という点も見逃せない。

これからも火力発電の重要性は変わらないだろう。そうした中、日本の電力事業者が、競争力のある安価な電力を供給していることはもっと知られていい。そして今回、新たな技術を用いた高稼働・高性能な火力発電所が、低炭素社会の実現にも寄与していることを実感した。こうした日本の最新火力発電技術は今後ますます海外から注目を集めるだろう。

写真)沖合に見えるLNG船
写真)沖合に見えるLNG船

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  1. 燃料を燃焼させた時に発生する水蒸気の蒸発熱を発熱量に含まない計算方法。なお、蒸発熱を発熱量に含む方法は「高位発熱量基準」という。
  2. 2018年3月時点
安倍宏行 Hiroyuki Abe
安倍 宏行  /  Hiroyuki Abe
日産自動車を経て、フジテレビ入社。報道局 政治経済部記者、ニューヨーク支局特派員・支局長、「ニュースジャパン」キャスター、経済部長、BSフジLIVE「プライムニュース」解説キャスターを務める。現在、オンラインメディア「Japan In-depth」編集長。著書に「絶望のテレビ報道」(PHP研究所)。
株式会社 安倍宏行|Abe, Inc.|ジャーナリスト・安倍宏行の公式ホームページ
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