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編集長展望

Vol.34 2022年大総括!エネフロ編集部座談会

写真)英国原子力公社 (UKAEA) 欧州トーラス共同研究施設 (JET) のトレーニング モックアップ内の MASCOT リモート アーム 2022年9月22日 イギリス・アビンドン

写真)英国原子力公社 (UKAEA) 欧州トーラス共同研究施設 (JET) のトレーニング モックアップ内の MASCOT リモート アーム 2022年9月22日 イギリス・アビンドン
出典)Photo by Leon Neal/Getty Images

まとめ
  • 2022年は、ウクライナ・ロシア戦争が勃発し、エネルギー安全保障に関心が集まった。
  • そうした中、良く読まれた記事は、核融合などの新技術、環境、EV関連。
  • 編集部スタッフの気になる話題は「エネルギー価格の高騰」だった。

今年も1年を振り返る時が来た。2022年は激動の年だった。まさかこの時代に戦争が起きるとは誰も予想だにしなかったろう。

ウクライナ・ロシア戦争の影響は地球規模におよんでいる。欧州各国がロシアへのエネルギー依存を絶ったことから、LNGの需給がひっ迫した。欧州各国は、冬に備えて在庫を積み増す必要に迫られ、急遽アメリカからの輸入に走ったほどだ。

日本もロシアからの原油・LNG輸入に依存している。特にロシア極東の石油・天然ガス開発事業「サハリン2」からのLNGは、我が国のLNG輸入量の約1割を占めており、政府は引き続き輸入するという決断をした。エネルギー安全保障に関心が集まった1年でもあった。

そうした中、クローズアップされてきたのは原子力だ。再生可能エネルギーの優等生ドイツも原子力発電所の稼働延長を決めた。イギリスも新増設を計画するなど、各国のエネルギー政策は様変わりしている。

エネルギーフロントラインもさまざまな記事を掲載してきたが、編集部では恒例の年末座談会を開催し、この1年を振り返った。

【座談会参加者】

  • 安倍宏行(エネルギーフロントライン編集長)
  • テッペイ(エネフロ制作会社)
  • カオリ(エネフロ編集部)
  • マユミ(エネフロ編集部)
  • ミズキ(大学生・エネフロ編集部インターン)

テッペイ2022年、良く読まれた記事のランキングTOP10は以下の通り。「核融合炉」の記事がトップでした。また、食品ロスなど古い記事もランクインしています。環境に関する記事は良く読まれていますね。

安倍エネフロ読者は新技術に関心が高いですね。2位の窓ガラス発電や、8位の木造高層ビル、10位の人工光合成などが良く読まれており、みなさんの興味の対象がうかがえます。

もう一つ関心の高いテーマは環境でしょうか。4位の食品ロス問題、5位のCO₂フリー電気、8位の植物工場など、環境に関わるテーマの記事は良く読まれているようです。

3番目はEV関連ですね。3位の中国EVが日本市場に参戦、の記事や、6位のEVウォー 日本メーカーに襲いかかる中韓勢、そしてソニー・カーの記事が7位にランクインしました。まだまだ日本ではEVは普及していませんが、ソニーの参入もあったりして、皆さん気になっているようです。2023年も自動車業界の話題は尽きないと思われ、楽しみですね。

写真)ソニーグループ株式会社代表執行役会長兼社長CEO吉田健一郎氏が CES 2022で、SUV のプロトタイプ車 VISION-S 02 (左) を公開した。 2022年1月4日、ネバダ州・ラスベガス・ベイ コンベンションセンター。
写真)ソニーグループ株式会社代表執行役会長兼社長CEO吉田健一郎氏が CES 2022で、SUV のプロトタイプ車 VISION-S 02 (左) を公開した。 2022年1月4日、ネバダ州・ラスベガス・ベイ コンベンションセンター。

出典)Photo by Alex Wong/Getty Images

さて、編集部スタッフの皆さんにもお話を聞きたいと思います。
まず、カオリさんと、マユミさんにお聞きします。今年の記事で一番興味深かったものは何ですか?

カオリ一番面白かったのは、「食べられる素材でプラごみ削減(2022.6.14)」です。プラごみ削減のために、「食べられる」素材を開発したという発想が斬新でした。Ooho!のような「つかめる水」を実際に息子(6歳)と作ったことがあるのですが、簡単で楽しく作ることができ、意外と身近だなと感じました。

もう一つは、「空飛ぶクルマ 東京・大阪で実証実験はじまる(2022.10.4)」です。実用化がすぐそこまで迫っていることに驚きました。

安倍では、最近の気になる話題はなんでしょうか?

カオリやはり電気料金の値上げは気になりますね。あと、EVが普及していくとガソリン車はどうなるのだろうと思っています。

安倍では、マユミさんが気になった記事はどれですか?

マユミ私が一番面白かった記事は、「見たい夢を見ることができる?MITが開発した新技術(2022.1.11)」です。ずっと睡眠や夢に興味を持っていたので、夢の世界にまでテクノロジーがきているのかと驚きました。映画の世界のようで夢がありますよね。こうした技術で、うつ病の方やPTSDに悩む人などが、投薬ではなく、夢をコントロールすることで症状が改善されるなら素晴らしいなと思いました。希望する夢を確実に見ることができるようになったら、医療にもビジネスにもエンタテインメントにも繋がると思うし、将来性を感じますね。

もう一つ興味を持った記事は、ランクインした「窓ガラスが発電する 京大発スタートアップの挑戦(2022.7.19)」です。身近なものが発電すると知りました。

安倍今年気になったニュースはなんですか?

マユミやはり、私もエネルギー価格の高騰ですね。

安倍意識しているテーマや今後知りたいテーマは何ですか?

マユミ海洋プラスチック問題の人体や地球への影響、ごみ問題、食品ロス、それにアマゾンの森林破壊にも興味があるのでそういう記事も読んでみたいです。

安倍次に編集部のインターンの学生さんにも聞いてみたいと思います。ミズキさんは今、大学で法学部の3年生ですが、エネフロの記事のテーマをたくさん提案してくれて、そのうちいくつかは採用されたのですよね?

ミズキはい、廃棄予定の食品を無料で提供する「コミュニティフリッジ(公共冷蔵庫)」は私が提案しました。提案した理由は、24時間・無人で営業でき、食糧支援の形として画期的なアイディアだと感じたからです。(記事:広がる「みんなの公共冷蔵庫」(2022.11.8)

実際に私も編集長と取材に行きました。コミュニティフリッジは、フードロス削減と困窮世帯への食糧支援の2つの役割を担っているとのことでした。人と会わずに支援を受けられるため、利用者のプライバシーが守られ、ウイルス感染の心配もありません。草加コミュニティフリッジの開設者は、物価上昇が困窮世帯の生活をさらに圧迫し、利用者はかなり増加していると話していました。実際に行って分かりましたが、需要が増えているコミュニティフリッジは慢性的な品薄状態で、企業や自治体の協力が不可欠だと感じました。

写真)コミュニティフリッジ草加の前に立つ「フードリカバリースーパーゼンエー」社長植田全紀氏 埼玉県草加市
写真)コミュニティフリッジ草加の前に立つ「フードリカバリースーパーゼンエー」社長植田全紀氏 埼玉県草加市

© エネフロ編集部

安倍大切な取り組みですね。こうした活動が全国に広がることを期待したいです。ミズキさんが気になった今年のニュースは?

ミズキやはり、ウクライナ侵攻の影響によるエネルギー価格の高騰ですね。物価上昇という形でも目に見えて日々の暮らしに影響を与えていることが分かるので。

あと、「海のエネルギーを活用「海洋温度差発電」(2022.2.15)」という記事が印象的でした。海洋温度差発電は日本の久米島でも試験運転がおこなわれていて、早期の実用化を目指しているようです。海外からの化石燃料輸入に頼らない、再生可能エネルギーを活用した自立したエネルギー社会を構築していく必要があると感じました。

安倍ミズキさんの提案は興味深いものが多いのですが、どういう視点からリサーチしているのですか?

ミズキ「エネルギーと環境」というテーマを意識して提案をしています。「CO₂で再生可能エネルギーを貯められる電池登場(2022.10.11)」の記事など、持続可能なエネルギー供給を実現する新しいアイディアをリサーチするようにしています。エネルギーの新たな可能性を知ることができるようなテーマをこれからも提案していければと思っています。

安倍ありがとうございます。今後はどんなテーマをリサーチしたいですか?

ミズキそうですね、今後知りたいテーマは、介護現場でのIoTの活用と、エネルギーコスト削減です。介護施設に実際に取材に行っても面白そうです。

2022年、多くの人にエネルギーフロントラインの記事をお読みいただきました。編集部一同、心よりお礼申し上げます。2023年も、エネルギーを巡るさまざまなトピックを取り上げますので、よろしくお願いいたします。

それではみなさま良いお年をお迎えください。

安倍宏行 Hiroyuki Abe
安倍 宏行  /  Hiroyuki Abe
・日産自動車を経て、フジテレビ入社。報道局 政治経済部記者、ニューヨーク支局特派員・支局長、「ニュースジャパン」キャスター、経済部長、BSフジLIVE「プライムニュース」解説キャスターを務める。現在、オンラインメディア「Japan In-depth」編集長。著書に「絶望のテレビ報道」(PHP研究所)。
株式会社 安倍宏行|Abe, Inc.|ジャーナリスト・安倍宏行の公式ホームページ
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