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出典)経済産業省「RoAD to the L4」(自動運転レベル4等先進モビリティサービス研究開発・社会実装プロジェクト)
- まとめ
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- 少子高齢化とECの普及で貨物量が増大、働き方改革もあり物流の人手不足が深刻に。
- 政府は2024年度にも新東名高速道路の一部に自動運転車用レーンを設置。
- 自動運転車のコストダウンや遠隔監視システムの効率化、法整備などが課題。
物流業界の「2024年問題」をご存じだろうか?
働き方改革関連法によって2024年4月1日以降、自動車運転業務の年間時間外労働時間の上限が960時間に制限される。物流効率化が進まなかった場合、物流が停滞することが懸念されている。
これを物流の「2024年問題」という。高齢化と若手の人手不足で労働力は増えない可能性が高い。こうした中、高速道路でトラックを自動運転で走らせる計画が進んでいる。
トラックの自動運転
自動運転とはその名の通り、人間がおこなっている、認知、判断、運転操作(加速、操舵、制動など)といった行為を、人間の代わりにシステム(機械)がおこなうものだ。米国自動車技術者協会(SAE)や国土交通省は、自動運転を、レベル0からレベル5までの6段階に区分している。
レベル0〜レベル2までは車がドライバーにとって代わるものではなく、ドライバーは常にハンドルを握って監視している必要がある。一方、レベル3〜レベル5までは車自らのシステムによる監視のもとの自動運転となる。
出典)国土交通省
これを踏まえて、経済産業省と国土交通省は、共同プロジェクト「RoAD to the L4」を推進している。正式名称を「自動運転レベル4等先進モビリティサービス研究開発・社会実装プロジェクト」といい、無人自動運転サービスの実現および普及を目指している。
具体的には、
・2022年度を目途に、限定エリア・車両での遠隔監視のみ(レベル4)での自動運転サービスを実現する
・2025年度までに、多様なエリア、多様な車両に自動運転を拡大し、50か所程度に展開する
ことを目標としている。
こうしたなか、今年3月、国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下「産総研」)が開発した「遠隔監視のみのレベル4の自動運転車両」が、国内で初めて認可を取得した。
そして4月1日、「レベル4」自動運転の公道走行を解禁する改正道路交通法が施行された。当面、過疎地域などで特定ルートを遠隔監視で走る乗客移動サービスを想定しており、自家用車は対象外だが、これでいよいよ「レベル4」自動運転の車が公道を走ることになる。モビリティの世界が大きく変わるマイルストーンとなることは間違いない。
新東名に自動運転車用レーンが
さて、本題だ。人手不足に悩む物流業界にとって、自動運転は待ち望んでいた技術に違いない。
岸田総理が推し進める「デジタル田園都市国家構想」。その実現会議で今年の3月31日、2024年度にも新東名高速道路の一部に自動運転車用のレーンを設置する方針が表明された。
このレーンは、完全自動運転に近い「レベル4」のトラックが主に深夜時間帯に使用されることを想定しており、駿河湾沼津と浜松の両サービスエリア間の100キロメートル超に設置される予定だ。直線的で長い区間なので、導入が容易だと判断された。2025年度までに全国50ヵ所、2027年度までに全国100ヵ所で自動運転車による移動サービス提供が実施できるようにすることを目指す。
経済産業省は、ハード・ソフト・ルールの面から自動運転車の走行を支援している道を「自動運転支援道/レーン」と呼んでいる。道路側にあるセンサーなどで検知した道路状況(例:工事規制、落下物、事故など)を車両に的確に情報提供することで、自動運転を支援する計画だ。
出典)経済産業省「デジタルライフライン全国総合整備計画の 検討方針について」(デジタル田園都市国家構想実現会議(第12回)資料)
レベル4の自動運転のトラックが100キロメートル超の高速道路を走行するのは世界でも初めてのケースになりそうだ。
今後の課題
新東名のような直線の高速道路での自動運転ならそれほど問題にはならないだろうが、一般道だと話は違ってくる。
まず狭い。曲がりくねっている。いつ人が飛び出してくるかもしれない。道路にモノが置いてあったり、車両が停車していたりもする。レベル4の自動運転は容易なことではない。
人間の目に相当する高性能なセンサーの開発が求められるが、第1の課題は、そうしたセンサー類を含む、自動運転車のコストダウンだろう。
また、自動運転レベル4においても、事故などの不測の事態が起きた場合、車両の内外をリアルタイムにチェックできる「遠隔監視システム」は必須だ。遠く離れた場所から監視員が効率よく複数の自動運転車両を監視するシステムを構築できるかどうかが、第2の課題だ。
第3の課題が、「責任の担い手」は誰か、というものだ。つまり、交通事故が起きた際の責任問題である。
現時点で市販車に採用されている自動運転技術のほとんどは、ドライバーが常に監視する必要があるレベル2であり、運転責任はドライバー側にある。しかし、特定条件下でのレベル4の無人運転では、責任の担い手が誰なのかが問題となってくる。
先に紹介した経産省と国交省の共同プロジェクト「RoAD to the L4」でも、「レベル4自動運転サービスが実装された場合の関係者の義務や役割、民事上の責任等の在り方など」を検討している段階だ。今後、刑事罰のあり方も含め、議論が活発化すると思われる。
我々の予想を超えるスピードで進む自動運転。社会が受けるメリットは大きいが、それを享受するための環境整備が急がれる。
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