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エネルギーと環境

Vol.26 テクノロジーで「ごみ問題」解決!

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出典) Pixabay

まとめ
  • 日本のごみ排出量は減少傾向にあるというものの、依然総量は多い。
  • ごみの選別を行うテクノロジーが導入され始めた。
  • ごみ回収作業の効率化も進む。私たちもできることから始めたい。

2020年7月に全国でレジ袋が有料化し、マイバッグを持ち歩く人が目につくようになった。これを機にごみ問題に関心を持った人も多い。SDGsという言葉も浸透しつつあり、社会のプラスチック削減の動きも徐々にだが進み始めている。今回は、「ごみの廃棄問題」に注目してみる。

ごみ問題の実態

大量生産・大量消費・大量廃棄型の20世紀から、21世紀は循環型社会へ移行する動きが見られた。2000年6月2日に制定された循環型社会形成推進基本法(循環基本法)により、3R(Reduce-発生抑制, Reuse-再使用, Recycle-再生利用)の実施が促進された。

では実際、日本のごみの実態はどうなっているのだろうか?

現在の全国の一人あたりのごみ排出量は以下のグラフのとおりである。2012年(平成24年)以降、減少傾向にあることが分かる。

グラフ) ごみ排出量の推移
グラフ)ごみ排出量の推移

出典) 環境省 一般廃棄物の排出及び処理状況等(平成30年度)

次に、全国の排出ごみの内訳を見てみよう。排出ごみは、生活系ごみ事業系ごみに分けられる。以下のグラフによると、2018年(平成30年)度の生活系ごみは2,967万トン、事業系ごみ排出量は1,304万トンであり、生活系ごみがなんと69%を占めている。(環境省3R より)

確かに日々買い物をしていると、食品を包んでいるポリ容器やラップなどがあっという間に積み上がる。ごみ袋もすぐパンパンになってしまうのを見て、なんとかならないか、と嘆息するのは筆者だけではないだろう。

グラフ) 生活系ごみと事業系ごみの排出量の推移
グラフ)生活系ごみと事業系ごみの排出量の推移

出典) 環境省 一般廃棄物の排出及び処理状況等(平成30年度)

そこで環境省は、生活ごみ削減のために「レジ袋チャレンジ」というキャンペーンを実行、「1週間レジ袋を使用しない人を6割にする」という目標を設定した。

環境省の調査によると、1週間でレジ袋を使用しない人は、2020年3月時点の30.4%から、11月時点では71.9%まで増加した。消費者の意識改革が進んだことは確かだろう。

ごみ分別のテクノロジー

今回まずは、ごみの回収とリサイクルの過程に注目してみた。

ごみのリサイクルで重要なのが「分別」だが、地域により分別方法が異なり、分かりづらいという声もある。しかし、ひとりひとりがごみの分別を怠ると、ごみ処理場にしわ寄せがいく。

私たちの出した生活系ごみ・事業ごみとも回収後ただ焼却されるわけではなく、中継所や中間処理施設で手作業による選別が行われている。あまりに非効率だ、ということで、この時間と手間のかかる作業をテクノロジーで解決しようという動きが出てきた。

フィンランドのゼンロボスティックス(ZEN ROBOTICS)が開発した「ゼンロボティクスリサイクラー」は、世界初の産業廃棄物選別ロボットだ。

ごみは、
・金属
・石、コンクリート、レンガ、磁器
・木くず
・未加工木材
・廃プラスチック

などさまざまな種類があるが、このロボットは、複数のセンサーから得られたデータを分析し情報を抽出する”データマイニング機能”や人工知能(AI)を駆使し、従来の光学センサーとは別次元のより正確なごみ選別をおこなう。

写真) ゼンロボ(ゼンロボティクスリサイクラー)
写真)ゼンロボ(ゼンロボティクスリサイクラー)

出典) 株式会社サナース

このゼンロボティクスリサイクラーを日本で初めて導入した、ごみ中間処理企業のシタラ興産は、導入後18人だった現場を2人に削減できたという。

また、株式会社リョーシンはアメリカのAMP社との共同開発により、建築系廃棄物から出るガレキなどの重量物を選別する「AIBenkei」と軽量物をピックアップする「AIMusashi」を開発した。この結果、24時間の連続稼働およびごみの大量処理が可能になった。

写真) AIBenkei
写真)AIBenkei

出典) 株式会社リョーシン

ごみ回収・配送作業のテクノロジー化

一方、街でごみを回収・配送する作業をテクノロジーで効率化しようとする動きも活発化している。

これまでは容器内のごみの量がわからないまま、回収をおこなっており、効率が非常に悪かった。

そこで、2010年にフィンランドで設立された廃棄物回収とリサイクルのサービスを提供するセンサー技術のベンチャー企業Enevoは、容器内のごみの堆積を計測するセンサーを開発した。それにより、

・測定したデータを堆積率として可視化
・容器内の状況の監視とアラート通知
・回収・配送ルートを最適化

することが可能になった。こうしたテクノロジーが社会に与えるインパクトは私たちが考える以上のものがある。まず、ごみ回収車が無駄に走り回る必要がなくなる。走行距離も、回収にかかる時間も短縮できCO₂削減に貢献するだけでなく、人員配置も効率化することが可能になり、働き方改革にも繋がる。すでにさまざまな商業施設や自治体、企業などで導入されている。

写真) 六本木ヒルズ
写真)六本木ヒルズ

出典) Eenovo Japan株式会社

また、身近な例では「自動分別ごみ箱」も登場した。

ポーランドのBin-eが開発した「Bin-e」がそれだ。私たちはごみを放り込むだけ。あとは勝手にBin-eがごみの種別を自動判断し、仕分け・圧縮してくれる。面倒な自力のごみ分別とはおさらばだ。

写真) 自動分別ごみ箱「Bin-e」
写真)自動分別ごみ箱「Bin-e」

出典) Bin-e.

こうしたテクノロジーは確かに便利だが、ごみは365日絶えず発生し続けている。私たちが今すぐできることにも目を向けるべきだろう。

引っ越しをしてごみ分別ルールが変わったとき、普段あまり発生しないごみが出てきたときに、地域のごみ分別ルールを調べるのは面倒だ。

手元にあるスマートフォンに話しかければ教えてもらえ、ごみ収集カレンダーや粗大ごみの手数料なども併せて確認できるサービスが「ごみ分別案内チャットボット」だ。すでに複数の自治体で運用が開始されている。

画像) ごみ分別案内ボット利用画面
画像)ごみ分別案内ボット利用画面

出典) 東京都墨田区「ごみ分別案内ボット」

これらのチャットボットはAIが多数のパターンを学習し、回答の精度を高めていく。お住まいの自治体がサービスを提供していれば、利用してみてはどうだろう。

しかし、結局はごみを出さない生活を心がけることが一番重要だ。そして捨てる時点で可能な限り分別を私たちで完了させることを意識したい。すこしでもこの地球環境を守るために。

安倍宏行 Hiroyuki Abe
安倍 宏行  /  Hiroyuki Abe
日産自動車を経て、フジテレビ入社。報道局 政治経済部記者、ニューヨーク支局特派員・支局長、「ニュースジャパン」キャスター、経済部長、BSフジLIVE「プライムニュース」解説キャスターを務める。現在、オンラインメディア「Japan In-depth」編集長。著書に「絶望のテレビ報道」(PHP研究所)。
株式会社 安倍宏行|Abe, Inc.|ジャーナリスト・安倍宏行の公式ホームページ
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