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編集長展望

Vol.05 スマートホーム市場で日本は巻き返せるか

写真)スマートホームイメージ図
出典)Pixabay

まとめ
  • スマートホームがその便利な機能で注目を集めている。
  • データを元に新たなサービスを生み出せるかどうかがカギ。
  • 日本企業に一日の長あり。

弊社の事務所にスマートスピーカー、Google Homeが届いたのが5カ月前。スピーカーに語りかけて、天気やニュースを聞いたり、音楽をかけたりすることが当たり前になりました。

写真)Amazon Echo(左)とGoogleHome(右)
写真)Amazon Echo(左)とGoogleHome(右)

©エネフロ取材班

家電などと連携したらさぞ便利だろうな、と思っていたら、我が家が契約しているケーブルテレビ会社、イッツ・コミュニケーションズ株式会社が“インテリジェントホーム(Intelligent Home)”とういう名称でスマートホームサービスを提供していることがわかったので、早速体験してきました。

インテリジェントホームが出来ること

玄関に立つとドアにはスマートロック(電子錠)が。リモートでドアの開閉ができます。いちいち鍵をカバンの中から取り出す手間が省けて便利です。スマートフォンのアプリでも簡単に操作できます。

写真)スマートロックをスマートフォンで開錠しているところ
写真)スマートロックをスマートフォンで開錠しているところ

©エネフロ取材班

次は「安心」です。共働きのお宅は、お子様の帰宅が心配ですよね。家の中に設置された人感センサーがお子様の帰宅を検知、ご両親のスマートフォンに通知してくれます。またネットワークカメラに繋いでお子様の様子も確認できるので安心です。もちろんペットの様子を見守ることもできますし、離れて暮らしている高齢のご両親の家にセンサーを取り付けて見守ることもできます。ご両親の活動が一定時間検出されない場合は、転倒や急病などの可能性があるので、家族にメールで通知します。また、自宅に不審者が侵入した場合等、センサーが感知して通知するなど、防犯にも役立ちます。

写真)扉付近に設置された人感センサー
写真)扉付近に設置された人感センサー

©エネフロ取材班

写真)室内に設置されたカメラの映像をスマートフォンで確認している様子
写真)室内に設置されたカメラの映像をスマートフォンで確認している様子

©エネフロ取材班

さらに、「快適さ」を手に入れることもできます。外出先かスマートフォンを使い、エアコンや照明をリモートコントロールできます。部屋の温度や湿度が設定した値を超えたらエアコンが自動的に立ち上がったり、スマートライト(LED電球)を点灯したりすることができます。

写真)リモートコントロールのスマートフォン管理画面
写真)リモートコントロールのスマートフォン管理画面

©エネフロ取材班

写真)スマート電球
写真)スマート電球

©エネフロ取材班

スマートスピーカーとの連動

ここでスマートスピーカーの登場です。Google Home(グーグルホーム) やAmazon Echo(アマゾンエコー)などを通じてインテリジェントホームと連携した家電をコントロールすることができます。

スマートスピーカーに声をかけるだけで、照明やテレビ、そしてエアコンのオン・オフが出来るなんて便利ですよね。「OKグーグル、電気つけて!」とか「OKグーグル、子ども部屋の電気消して!」と声をかけるわけです。

実際、私のオフィスや自宅の部屋で、スマートスピーカーに声をかけてその日の最新ニュースを聞いたり、天気予報を確認したり、目的地までの経路を音声で確認できるのはとても便利で、一回経験するとくせになります。なにしろスマートフォンを操作する必要がないのですから。それが家の中のあらゆる家電に繋がったら、もっと便利なのは言うまでもないですよね。

スマートホーム市場のこれから

こうしたスマートホームの市場は今度どうなっていくのでしょうか?スマートスピーカーが世の中に出たばかりの今、自宅をスマート化しよう、というご家庭はまだそう多くない気がします。そこで、今回紹介した会社では、グループ企業の新築マンションや賃貸マンションにスマートホームの機能を実装して販売しています。最初からスマート機能がついていれば、物件の付加価値が上がりますし、消費者も受け入れやすいでしょう。今後、他の住宅メーカーや不動産会社も、スマート機能を標準装備してくるのではないでしょうか。

写真)イッツ・コミュニケーションズ株式会社
事業戦略室部長 中村京介氏(中央)、須藤瑛氏(右)
写真)イッツ・コミュニケーション株式会社事業戦略室部長中村京介氏(中央)、須藤瑛氏(右)

©エネフロ取材班

後付けでカギとなるのはやはり利用料でしょう。今回紹介したインテリジェントホームの場合、基本利用料が約2000円から3000円、それに加え、カメラやセンサー、スマートロック、コントローラーなど個々のデバイスにレンタル料がかかるので、各家庭のニーズによって全体の利用料は変わってきますがそれなりの価格になりそうです。月額5000円程度なら普及が加速するような気がします。

海外のスマートホーム市場

一方、海外ではこの市場はどうなっているのでしょうか?あらゆるものがインターネットに繋がり、相互に情報交換して制御し合う社会の実現を「IoT(Internet of Things):アイオーティー」と言いますが、そのIoTにより産業がどう変化していくのか研究している株式会社日本総合研究所創発戦略センターシニアスペシャリスト木通秀樹氏に話を聞きました。

写真)株式会社日本総合研究所創発戦略センターシニアスペシャリスト 木通秀樹氏
写真)株式会社日本総合研究所創発戦略センターシニアスペシャリスト 木通秀樹氏

©エネフロ取材班

Q今後スマートホームは普及していきますか?

Aアメリカでは進んでいるが、日本ではどれだけ進むかまだ分かりません。アメリカやイギリスで普及している最大の理由は、損害保険会社と組んでいるからです。住宅火災保険を売るため、無料でスマートホームのサービスを入れているので普及が始まっています。単品で売っていくのはなかなか難しいと思いますね。

Q市場規模はどのぐらいなのでしょうか?

Aまだまだ小さいと思います。スマートホームのデバイスはそんなに高いものではないので、それが積み上がっても大した額ではありません。しかし、スマートホームによって出てくる効果は大きい。サービスとして、全体で見ないとマーケットの大きさは測れません。

Qスマ―ト機器を通じて得られたデータを使ってどうするか、ということですか?

Aデータは独り歩きしないので、データを使ってどうするか、ということが重要になってきます。

Q具体的にはどんなことが考えらますか?

A例えば、スマートホームでいうと、近所で盗難などがあった場合、データのとり方をより緻密にしていき、ユーザーに「空き巣多発」など注意喚起の報告の頻度をあげるとかですね。ユーザーの気持ちになることが大事です。

また、家電だけではなく、家の設備の管理データなどもあります。水道の配管の設備などで、振動によって水漏れのあるなしが分かります。トラブルが起こりそうだと予測して、ユーザーに注意喚起することもできます。これは、損害保険の話に直結します。水漏れすると下の階の方に訴えられます。そういう時に保険が使えます。そういう意味で保険会社は絶好の対象となるわけです。

Q新しいマーケットが生まれるということですね。

A今後、スマートホーム向けのいろいろなサービスが増えていきます。スマートホームは、そういった意味で付加価値をつけていけます。重要なポイントは、自分たちのところだけでサービスをするのではなく、いかにまわりの人とうまく組んで、ユーザーに対して積極的にサービスを提供出来るかたちにしていけるかどうかなのです。スマートホームで入手したデータを分析してユーザーに返すだけではなく、周りを巻き込んで新しい付加価値を提供できることがIoTの最大の“みそ”なのです。

Qヘルスケアなどのサービスはどうでしょうか?

Aドンピシャな分野です。ある空間にいるだけでいろんなデータがとれるようになります。ウェアラブル機器は結局身につけなくなってしまう。でも、今は表情を画像で撮れたり、身体状況を把握できるようになってきました。医療の面で、遠隔医療やその場にいなくてもデータなどが把握できる。今まではそういう情報はお医者さんが握っていたわけです。今はオンライン上でデータがやり取りできます。そうなるとユーザーの方で、医者を選定できるようになる。ですから医学界も相当変わっていきます。ヘルスケアをサポートしていく体制は、相当強化されるでしょう。業界自体が変わり、ユーザーにとってメリットのあるサービスが増えていきます。

Q日本企業は世界で勝てるでしょうか?

Aアメリカはプラットフォーム戦略が強いですが、いかにモノと組み合わせていくか、そのアイデアが大事です。ここは日本人が得意とする分野なので、日本が巻き返すことは十分に可能とみています。

これまで日本の企業はGoogleやApple、そしてAmazonなどのプラットフォーム企業に席巻されてきました。本当にIoTの世界で日本企業が世界市場で勝てるのかどうか、その実力が今まさに試されそうとしています。

安倍宏行 Hiroyuki Abe
安倍 宏行  /  Hiroyuki Abe
日産自動車を経て、フジテレビ入社。報道局 政治経済部記者、ニューヨーク支局特派員・支局長、「ニュースジャパン」キャスター、経済部長、BSフジLIVE「プライムニュース」解説キャスターを務める。現在、オンラインメディア「Japan In-depth」編集長。著書に「絶望のテレビ報道」(PHP研究所)。
株式会社 安倍宏行|Abe, Inc.|ジャーナリスト・安倍宏行の公式ホームページ
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