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エネルギーと私たちの暮らし

Vol.21 テクノロジーで社会をスマート化する

まとめ
  • 電力事業者と協力企業や研究機関による最新技術を紹介するイベントが開催、テクノロジーで社会をスマート化する試みが紹介された。
  • パーソナルモビリティで高齢者と社会をつなぐ電動車いす。
  • 地震発生時の建物損傷状況を無線とクラウドで通知。

今年も、電力事業者と協力企業や研究機関による最新技術を紹介するイベント、「テクノフェア2019」(主催:中部電力株式会社技術開発本部)を取材する機会があったのでその一部を紹介する。

まず目に留まったのは、スタイリッシュな電動車いすだ。

高齢者と社会をつなぐ

最近、電動車いすで街を移動している高齢者をよく見るようになった。高齢者の移動(モビリティ)の問題は、「コミュニティの希薄化」という社会課題と密接につながっている。人は体力的に外出が難しくなると、社会とのつながりが途絶えがちになる。気軽に外出できるための、「パーソナルモビリティ」の実現は、高齢者のコミュニティへの参加をサポートする意味でもこれからの社会にとって必須なものとなろう。

今回、展示されていたのは、ベンチャー企業のWHILL株式会社が開発した「WHILL Model C」。特徴は、小回り性能に優れ、従来の電動車いすと比べて行動範囲が広がることと、バッテリーが外付けで、移動先でもバッテリーを所持していれば交換が可能であることなど、ユーザーが使ってみたいと思える仕様になっている。介護保険制度のレンタル対象になっているので、自己負担も抑えられる。

なんといってもごつくない。従来の標準的な電動車いすに比べ、半分程度の大きさに感じる。また、思った以上に小回りがきく。例えばエレベーターの中などの狭い空間でも簡単に方向転換ができそうだ。

図) WHILLと従来の平均的電動車いすのサイズ比較
図)WHILLと従来の平均的電動車いすのサイズ比較

出典) WHILL株式会社

図) WHILLの最小回転半径(内側)約76㎝
図)WHILLの最小回転半径(内側)約76㎝

出典) WHILL株式会社

筆者も実際に試乗してみたが、360度動くスティックを片手で操作するだけで驚くほど軽快に運転できる。これなら、自宅に引きこもらずに外に出てみよう、という気持ちが沸き起こるような気がする。

デザインとテクノロジーの力で、身体の状態や障がいの有無にかかわらず、自由な移動を手にすることは、コミュニティ=社会のあり方を一変させる可能性を秘めていると思った。

写真) 筆者
写真)筆者

© エネフロ編集部

© エネフロ編集部

地震発生!建物の安全性を数分で判定

地震が発生した後、建物を継続して使用できるかを判断する必要が出てくる。二次被害を防ぐ為だが、従来の判定システムは、いくつかのフロアに加速度センサーとデータ収集・解析装置を設置し、通信用ケーブルでつなぐ必要があったため、工期が長くなる、工事費が高額、などの問題があった。

こうした中、株式会社中電シーティーアイは、株式会社大林組と共同で、無線加速度センサーとクラウドシステムを活用した、「地震時の建物安全性判定支援システム」を開発し、実証実験を行っている。

このシステムは、地震に遭った建物の安全度を地震発生時にただちに判定することができるもので、建物内の無線加速度センサーが感知した揺れデータと建物の構造諸元を基に数分のうちに解析するのが特徴だ。

写真) 無線加速度センサー
写真)無線加速度センサー

出典) LORD社

無線加速度センサーの採用によって、通信用配線工事が不要になり、コスト削減になる。また、既存建物へのシステム導入も簡単だ。さらに、解析結果をインターネット経由で遠隔地からも入手出来るし、複数の建物の情報を一括で把握することも可能だ。建物ごとの地震による揺れ計測記録はクラウド上に蓄積されるので、今後、多くの建物に導入されることで蓄積データが増え、その解析によって将来の地震による建物の安全性を推定できるようになることが期待されるなど、メリットは多い。

図) 「地震時の建物安全性判定支援システム」の概要
図)「地震時の建物安全性判定支援システム」の概要

出典) 中電シーティーアイ

テクノロジーで震災時の建物の安全確認が、低コストで、迅速かつ大量に、しかもリアルタイムで行えることによるメリットは測り知れない。

停電情報をスマホでゲット!

「あれ?電気がつかない。。。」そんな状況に陥ったらちょっとしたパニックになるのでは?それほど最近は停電がほとんど起きなくなっている。筆者が子供の頃(半世紀前の事だが・・・)は家にいつも太いローソクがあり、停電したらすぐ灯りをともしたものだ。それから電気事業者は、停電が起きにくい安定的な送電ネットワークを構築してきた。その結果として、今我々は停電の少ない生活を享受している。
それでも停電はゼロにはならない。実際、この秋、台風による暴風や集中豪雨などによって、停電が中部、関東、東北地区で発生したことは記憶に新しい。

電気がつかない!そんな非常時に必要なのは、やはり停電情報だろう。一体どの地域が停電しているのか、自分の家はその地域に入っているのか、復旧までにはどのくらい時間がかかるのか、などなど。それらの情報がスマホに届くならかなり便利だ。そんなアプリが開発されている。中部電力の「停電情報お知らせサービス」がそれだ。

特徴は、

・プッシュ通知で連絡

あらかじめ登録した地点やエリアで停電が発生・復旧した場合、プッシュ通知で知らせてくれるので、外出先でも停電情報をすぐ確認出来る。雷情報もある。

・マップで一目瞭然

家族のいる地域の停電もすぐに確認。停電復旧情報や発生規模もわかる。

・チャットで問い合わせ

聞きたいことがあったらアプリ上で、オペレーターとチャットが出来る。電話が繋がりにくいとか、どこにかけたらいいかわからない、というストレスから解放される。

画像) 停電地図表示画面
画像)停電地図表示画面

出典) 中部電力

停電情報提供アプリは、同様のアプリは中部電力のほか、東京電力ホールディングス、関西電力でも提供(注1)されているので、各自チェックしてみたらいいのではないか。

安倍宏行 Hiroyuki Abe
安倍 宏行  /  Hiroyuki Abe
日産自動車を経て、フジテレビ入社。報道局 政治経済部記者、ニューヨーク支局特派員・支局長、「ニュースジャパン」キャスター、経済部長、BSフジLIVE「プライムニュース」解説キャスターを務める。現在、オンラインメディア「Japan In-depth」編集長。著書に「絶望のテレビ報道」(PHP研究所)。
株式会社 安倍宏行|Abe, Inc.|ジャーナリスト・安倍宏行の公式ホームページ
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