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©エネフロ編集部
- まとめ
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- 今年もインフルエンザの流行シーズンに入った。
- ウイルスの感染経路を断つことが重要。
- 他人への感染を防ぐための「咳エチケット」を呼びかける啓発活動も推進中。
今年も、全国でインフルエンザが猛威を振るっています。38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感などの症状が比較的急速に現れるのが特徴で、現在では複数型のウイルスが同時流行し、年々患者数が増えているようです。小児や高齢者が感染すると時には命に関わることもあるインフルエンザ。一人一人が正しく“予防する”ことが大変重要になってきます。どんな対策が効果的なのでしょうか。
インフルエンザの現状
日本では例年12月~3月がピークと言われており、1月11日の厚生労働省の発表によると2019年第2週(1/7〜1/13)のインフルエンザ患者報告数は190,527人に上りました。また2018 年第 36 週(9/5〜9/11)以降、これまでの累積の推計受診者数は約328.5万人になったと報告されています。
下図をご覧いただくと、全国で警報レベルを超えている保健所地域は358カ所(1都1道2府38県)、注意報レベルを超えている保健所地域は193カ所(1都1道2府39県)となり、感染が拡大していることが分かります。
2019年第2週 (1月7日~1月13日) 2019年1月16日現在
出典)国立感染症研究所
年齢別の患者数を見てみると、5〜9歳が最も多く、次に10〜14歳と小児が約半数を占めています。保育所や幼稚園、小学校での発症件数が圧倒的に多いので、小さなお子様がいらっしゃる方は、特に注意が必要です。
出典)東京都感染症情報センター
出典)東京都感染症情報センター
インフルエンザの感染経路
そもそも、インフルエンザはどのようにして感染するのでしょうか?
感染経路には飛沫感染と接触感染の2種類があります。 飛沫感染は、感染した人の咳やくしゃみの飛沫に含まれるウイルスを、別の人が口や鼻から吸い込みウイルスが体内に入り込むことです。
接触感染は、感染した人が咳を手で押さえた後や、鼻水を手でぬぐった後に触れたドアノブやスイッチ、電車のつり革や手すりなどにウイルスを含んだ飛沫が付着し、その場所に別の人が触れ、その手で鼻や口を触ることでウイルスが体内に入り感染します。
出典)東京都福祉保健局
このように私たちは普段知らず知らずのうちに多量のウイルスに触れています。その感染経路を断つことが、重要な予防法になります。
日常の予防法
①外出後の手洗い、うがい
上記で述べたように飛沫感染、接触感染などの感染経路を断つことが大切です。人が多く集まる場所から帰ってきたときには手洗いとうがいを励行しましょう。
ただし、うがいは、一般的な風邪などを予防する効果があるといわれていますが、インフルエンザを予防する効果については科学的に証明されていない、との情報もあります(首相官邸「季節性インフルエンザ対策」)。うがいを頻繁にするのも現実的ではないですし、こまめに緑茶を飲むことがインフルエンザ予防に効くとの研究結果もあります。日本カテキン学会の創立者であり、昭和大学医学部名誉教授の島村忠勝氏は、緑茶に含まれるカテキンには殺菌作用、抗ウイルス作用があると発表しています(参照:カテキンの抗菌活性から臨床応用へ)。
また、アルコールを含んだ消毒液で手を消毒するのも効果的です。家庭用の消毒液やジェルなどいろいろな種類が販売されていますので、ご家庭やオフィスのご自分のデスクに置いておくのもよいでしょう。
出典)東京都
また、「歯磨き・口腔ケア」が予防に効果的で、インフルエンザ発症率を10分の1に減少させたという研究結果も報告されています。日本大学歯学部細菌学講座教授の落合邦康氏によると、口腔内の細菌はインフルエンザウイルスを粘膜に侵入しやすくする酵素を出すため、口腔を不潔にしているとインフルエンザに感染しやすくなる、とのことです。口腔内雑菌を減少させることで、インフルエンザ感染を抑制できる可能性があるということで、口腔ケアも重要な予防法になりそうです。
②人混みや繁華街への外出を控える
インフルエンザは通勤電車や職場、人混みなどで他人から感染することが圧倒的に多いと考えられています。外出して人混みに入った場合には、他人からの飛沫感染などを防ぐためにマスクを着用することは一つの防御策と考えられます。
③適度な湿度の保持
空気が乾燥すると、気道粘膜の防御機能が低下し、インフルエンザにかかりやすくなります。特に乾燥しやすい室内では、加湿器などを使って適切な湿度(50~60%)を保つことも効果的です。先に述べたマスクは喉を潤すという意味でも効果が期待できます。
④十分な休養とバランスのとれた栄養摂取
体の抵抗力を高めるために、十分な休養・睡眠とバランスのとれた栄養摂取を日ごろから心がけましょう。
⑤流行前のワクチン接種
ご存じの方がほとんどだと思いますが、予防接種は発症する可能性を減らし、もし発症しても重い症状になるのを防ぎます。ただしワクチンの効果が持続する期間は、一般的には5ヶ月ほどです。また、流行するウイルスの型も変わるので、毎年、定期的に接種しましょう。
⑥咳エチケット
厚生労働省では、他の人への感染を防ぐため、「咳エチケット」をキーワードに普及啓発活動を行い、マスクの着用や人混みにおいて咳をする際の注意点について呼びかけています。
出典)厚生労働省
- 咳・くしゃみが出る時は、他の人にうつさないためにマスクを着用しましょう。マスクを持っていない場合は、ティッシュや腕の内側などで口と鼻を押さえ、他の人から顔をそむけて1m以上離れましょう。
- 鼻汁・痰などを含んだティッシュはすぐにゴミ箱に捨て、 手のひらで咳やくしゃみを受け止めた時はすぐに手を洗いましょう。
また、マスクの表面にはウィルスが付着していると考えられます。一度使ったマスクを外す時はマスクの表面を触らないようにして、ゴムバンドのみに指をひっかけて外し、そのままゴミ箱に捨てましょう。 - 咳をしている人にマスクの着用をお願いしましょう。
参考)厚生労働省
また、最近は、日本を訪れる外国人に向けて、咳エチケットや手洗いを呼びかける活動も盛んになってきました。これは2017年に東京都が浮世絵風に英文でインフルエンザの予防を呼びかけたリーフレットです。訪日外国人観光客が急増している中、こうした取り組みは重要です。
出典)保健指導リソースガイド
インフルエンザのシーズンはまだまだ続きます。一人一人の意識と心がけによって、自分自身を守ることはもちろんのこと、集団感染を防ぐこともできます。以上のような予防法を意識して実行することで、元気に寒い冬を過ごせるようにしたいものですね。
- 参考)
- ・厚生労働省健康局 インフルエンザ一問一答
- ・厚生労働省 インフルエンザQ&A
- ・国立感染症研究所
- ・東京都医学総合研究所 マスクの付け方・はずし方
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