イメージ図
出典)ACフリー画像
- まとめ
-
- こたつは省エネでお財布にも優しい優秀家電
- ニーズに合わせて多様化する最新のこたつ
- 日本の若者や外国人からも人気を集めている
「こたつにみかん」と言えば、お茶の間の風物詩とも言える代表的な光景。こたつがあると、家族や仲間が自然に集まって心も身体も温かくなりますよね。今回はそんな日本古来のこたつの魅力とその最新事情をご紹介します。
こたつの起源と今
昔の日本家屋は木造で、冬になると隙間風で寒かったのは想像にかたくありません。日本民具辞典によると、室町時代に囲炉裏の上に櫓(やぐら)を組み、布団をかけた物が最初だそうです。今では当たり前のテーブル型電気こたつですが、こたつ用の天板が一般家庭に普及したのは意外と遅く、戦後しばらくたってから。それまでは写真のように簡素なものだったんですね。そして熱源も変わっていったのです。
出典)さぬき市歴史民俗資料館
電気こたつの国内生産台数を調べてみると、1990年は約184万5000台だったのが、2003年には約23万1400台にまで激減。2004年以降は、国内で生産しているメーカーが少なくなったため、調査対象から外されてしまいました。
これだけ電気こたつの生産台数が激減したのは、冬でも冷えにくいマンションの普及やフローリングなどライフスタイルの変化、エアコンの普及が原因だと言われています。事実、生産台数が激減しているのはこたつだけではなく、電気ストーブ、電気毛布、電気カーペットのいずれも1990年と2004年を比較すると、3分の1から4分の1の生産台数に激減し、それ以降は調査対象から外れさています。(経済産業省のデータを元に一般社団法人日本電気工業会がまとめ)ところが、ここ数年、こたつの良さが見直され、人気が復活しているというのです。
環境にもお財布にも優しいこたつ
こたつ人気復活の大きな理由は、圧倒的な消費電力の少なさです。こたつは内部にヒーターがあるので、意外に電気代が高いと思われがちですがそんなことはありません。布団で覆った密封空間をヒーターで暖めるだけなので、スイッチを入れるとすぐに暖かくなり、また熱が逃げることなく暖かさも持続します。こたつは、頭寒足熱をすばやく体感できる優秀な省エネ家電と言えます。
4人以上で使える大型こたつの消費電力は、各社のカタログをチェックすると「弱」運転で100W前後、「強」運転では200~300W程度です。1kWh当たりの電気代を25円として計算すると、1時間あたり100Wでは2.5円、200Wでも5.0円となります。(注1)
ホットカーペットや電気毛布も構造的にはよく似ていますが、実は電気代が大きく異なります。消費電力が75Wタイプの電気毛布で、1時間の消費電力量は0.075kWh、電気代は約1.88円です。一方ホットカーペットは3畳用の450Wタイプのもので、1時間の消費電力量は0.450kWh、電気代は約11.3円です。さらに、私が自宅で使用してる2014年製大手家電メーカーのエアコンは、1時間あたり最小2.9円ですが、最大の場合は53.46円でした。
東京都渋谷区の大手家電量販店販売員の方に伺ったところ「震災後から意識が高まったのか、節電を意識されたお客様に一定の人気があります。意外に年配の方だけはなく一人暮らしの若者や冷え性に悩む女性も購入されています。また空気が汚れづらく乾燥しづらいというメリットも購入する理由ですね。」と近年のこたつ人気を解説してくれました。
最新こたつ機能
そんなこたつも年々進化を遂げています。
1.「人感センサー付き」こたつ
うっかりさんにおすすめなこちらは、付けっぱなしを防止するセンサーがこたつの中を見張ります。人がいないと約5分後に自動的にオフになるので火事の心配もなく、省エネにも役立ちます。
出典)小泉成器株式会社
2.「布団レスこたつ」
インテリアにもよく馴染む、布団の要らないこたつは若い世代に人気です。テーブル下の光ヒーターの輻射熱(ふくしゃねつ)で足元を暖めるこつができます。椅子に座って使用するダイニングタイプなので、フローリングにもマッチし、夏場に布団を片付ける手間が省ける点も嬉しいですね。
出典)KAGU350
3. ペット用こたつ
ペットが暖房器具の前でくつろぐ姿はかわいいものですが、犬や猫は人間に比べ、温度変化にとても鈍感です。人間用のこたつやファンヒーターは熱さを感じず近距離で長居してしまい、火傷してしまうこともあります。そこで、ペットにはペット用の低音設計されたこたつが安心です。ペットには温風による乾燥も大敵ですが、こたつなら心配無用です。コードはいたずら防止のためプラスチック樹脂で保護されています。これで、人間だけでなくペットも快適に寒さを乗り越えられますね。
出典)株式会社オーエフティー
海外にも波及 こたつの魅力
現代の多様なニーズに合わせて形を変えながら、世代を問わず親しまれているこたつ。その魅力にひかれる外国人が増加しています。海外の人がこたつの良さを紹介している動画を多数発見、最も人気のある動画の再生回数はなんと18万回。「驚くべき日本の文化」として発信されており、絶賛するコメントが数多く書き込まれています。
また、ツイッターやインスタグラムではこたつでくつろぐ猫の写真が世界中で拡散されたり、猫好きの方にも注目を集めています。街の飲食店でその波及効果を発見しました。ビアガーデンならぬ、「こたつガーデン」が登場しています。都内ではデートスポットとしてもお洒落なこたつカフェも多数存在しています。外国の友人が日本に来た際、こたつカフェに行ってみたいと言われ案内したところ、店内は外国人で満員。観光スポットとして人気急上昇中のようです。興味ある日本文化を体験できるだけでなく、そこに不思議な親近感が生まれることにも、大きな魅力を感じているようでした。
出典)両国テラス
近年、日本の若者や外国人からも人気を集めているこたつ文化。今年の冬は、最新こたつで心も体も温まってはいかがでしょうか。
- 電気料金算出は中部電力120kWhをこえ300kWhまでの場合の1kWhあたりの値段を参考とした
Recommend Article / おすすめ記事
RANKING / ランキング
SERIES / 連載
- ためになるカモ!?