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テクノロジーが拓く未来の暮らし

Vol.01 AIスピーカー元年 暮らしが変わる、電気が変わる

写真)AIスピーカー Google Home
出典)Flickr NDB Photos

まとめ
  • グーグル、LINEが相次いでAI(人工知能)スピーカーを発売。
  • 様々な家電と繋がり、私たちの暮らしをより便利で快適なものにしてくれる。
  • AIで発送電も効率的になる。よりスマートな社会の実現に寄与する。

AIスピーカー日本上陸

今年の10月に相次いで発売された「AIスピーカー」。みなさんもご存じでしょうか?AI、すなわち「人工知能(Artificial Intelligence)」を搭載したスピーカーです。「スマートスピーカー」とも呼ばれています。筒のような小さなスピーカーに話しかけるだけで、生活に必要な情報を入手したり、電化製品の操作、さらには買い物したりできるようになるというから驚きです。

写真)初代アマゾンエコー
写真)初代アマゾンエコー

(出典:Amazon Echo - Amazon Official Site - Alexa-Enabled

AIスピーカーで先鞭をつけたのはアマゾン(Amazon)です。「エコー(Echo)」という商品名で2015年6月にはすでに米国内で広く手に入れることが出来るようになりました。価格はエコーの現モデルで149.99ドル(約16,600円:1円=111円換算)です。

エコーは音声コントロールの音声アシスタントの「アレクサ(Alexa)」の名前を呼ぶと反応します。「アレクサ」とまず語りかけて聞きたいことを質問すると、エコーは返事をしてくれます。まるで有能な秘書が隣にいるようなものですね。ピンとこない向きには以下の動画を見ていただきましょう。ではエコーの小型版、エコードットの動画をどうぞ。(エコードット価格:49.99ドル:約5,550円

動画)エコードット(Echo dot)の紹介ビデオ

出典)YouTube:amazon

エコーは、朝一でスケジュールを教えてくれたり、音楽をかけてくれたり、テレビをつけたりしてくれます。もちろんエアコンの温度設定もオンオフも完璧。レストランやホテルの予約はもちろん、飛行機のブッキングだってらくらく。ニュースも聞けるし、わからないことはすぐに答えてくれます。でも、なかなか日本で発売になりませんでした。

アマゾンエコーが日本市場に来ないのをライバルたちが黙って見ているはずがありません。今年10月に入り、遂に、グーグル(Google)とライン(LINE)が相次いでAIスピーカーを発売しました。

今回グーグルから発表されたのは2機種。「グーグルホーム(Google Home)」(発売中)と「グーグルホームミニ(Google Home Mini)」(発売中)です。価格はホームが15,120円(税込み)、ホームミニが6,480円(同)です。(Googleホームページによる

写真)グーグルホームミニ
写真)グーグルホームミニ

出典)Google ホーム&エンターテイメント

一方、日本国内で7000万人が利用しているというSNS、LINE(ライン)を提供するLINE株式会社も「Clova Wave(クローバ ウェーブ)」というAIスピーカーを発売しました。話しかけるだけでLINEのメッセージを送ることができるのは便利かもしれませんね。もちろん、メッセージを受け取ったらスピーカーが読み上げてくれます。人に聞かれたくないメッセージは困りますが(笑)

価格面ではグーグルに対抗し、税込み14,000円、来年1月末まではスピーカー本体とLINEミュージックの月額利用料金960円12カ月分をセットにし、税込み12,800円で販売するなど、攻勢をかけています。もちろんアマゾンや他のライバルも参入してくるでしょうから、早くもAIスピーカー市場は戦国時代に突入しそうです。

写真)LINE「Clova Wave(クローバ ウェーブ)」
写真)LINE「Clova Wave(クローバ ウェーブ)」

出典)LINE HP

さてこの「AIスピーカー」、私たちの生活に便利なのはわかりましたが、もっと大きな可能性がありそうです。社会に大きなインパクトを与えそうな気すらします。

AIスピーカーがしてくれること

AIスピーカ―は、IoT(Internet of Things)、すなわち全ての機器がインターネットにつながった状態で、最も威力を発揮します。AIを搭載したスマート家電は既に前述のアマゾンアレクサやグーグルアシスタントなどに続々対応し始めており、AIスピーカーを通じてあらゆる機器のオンオフや機能の調整が自在にできるようになりました。電気を無駄なく、快適な生活環境を実現するために使うことができるようになったのです。スマートフォン(スマホ)のアプリケーション(アプリ)で操作する必要がなくなったことは革命的です。

また情報収集の仕方も大きく変わります。これまでもスマホで新聞やテレビニュースをポッドキャストで聞くことは出来ましたが、朝の忙しい時間にわざわざスマホのアプリを立ち上げて・・・というのは面倒でした。しかし、AIスピーカーに一声「今朝のニュースは?」と話しかければ、最新ニュースが流れてきます。この便利さは一度経験したら病みつきとなるはずです。

すでにグーグルのコンテンツパートナーとして、日本経済新聞、ラジオNIKKEI、朝日新聞、NHK、J-WAVE、スポーツニッポン、TBSラジオ、ニッポン放送、毎日新聞などがニュース提供に名乗りを上げています。簡単にかつ迅速に情報を得ることは、仕事にも良い影響を及ぼすはずです。

AIスピーカーの使い道は無限大です。様々なサービスが生み出され、多くの企業間の協業が加速し、新たな市場が急拡大していくでしょう。

AIはさらに進化する

電気の世界でもAIは活躍が期待されます。すでに電気メーターのスマート化は進行中で、電力会社の中には電気使用量を30分毎に把握して「見える化」サービスを行っているところもあります。電気使用量をグラフなどでチェックすれば、1年間の使用パターンや、毎年の推移も一目瞭然、電気の使い方も賢くなりますね。日別、時間別推移だって見ることが出来ます。

写真)スマートメーター
写真)スマートメーター

出典)中部電力「スマートメーターって何?

将来、AIを使ってデータを詳細に分析することにより、既存のサービスをさらに高度化することが出来ます。家電毎や家族毎の電気の使い方に対してよりきめ細かなアドバイスを行うことも可能になるでしょう。温度管理サービスは高齢者のヒートショック対策にも有効です。

そしてAIは発電の分野でも活躍が期待されています。東京電力ホールディングス(HD)は、163カ所、最大出力986万kWに相当する水力発電所を保有していますが、今後AIを活用し、ダム下流域の安全性を確保しながら年間最大1,500万kWh程度の発電電力量の増加を図る計画だといいます。水力発電所の生産性向上とCO2排出量削減にも貢献するでしょう。

写真)東京電力HD 小田切ダム
写真)東京電力HD 小田切ダム

Photo by Qurren

AIは送電設備の劣化予測などにも使われようとしています。送電設備の点検・改修に係るコストが削減されることは私たち消費者にとってもよいことですね。

AIは単に私たちの身の回りを便利にしてくれるだけではありません。その活用方法は無限大です。電気という、私たちの生活にとってなくてはならないものをいかに効率よく生み出し、そして使っていくのか。AIを使う人間の知恵が試される時代に突入したと言えるでしょう。

安倍宏行 Hiroyuki Abe
安倍 宏行  /  Hiroyuki Abe
日産自動車を経て、フジテレビ入社。報道局 政治経済部記者、ニューヨーク支局特派員・支局長、「ニュースジャパン」キャスター、経済部長、BSフジLIVE「プライムニュース」解説キャスターを務める。現在、オンラインメディア「Japan In-depth」編集長。著書に「絶望のテレビ報道」(PHP研究所)。
株式会社 安倍宏行|Abe, Inc.|ジャーナリスト・安倍宏行の公式ホームページ
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IoT、AI・・・あらゆるものがインターネットにつながっている社会の到来。そして人工知能が新たな産業革命を引き起こす。そしてその波はエネルギーの世界にも。劇的に変わる私たちの暮らしを様々な角度から分析する。