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- まとめ
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- 梅雨や本格的な夏が来る前に、家電メンテナンスの季節が到来。
- エアコンフィルターや換気扇のフィルターなどのほこりをとろう。
- 古い家電は最新型と消費電力比較のうえ、買い替えも検討してみては。
桜も満開になり、新学期の季節がスタートする。
冬場にフル稼働していたエアコンなど、家電製品のメンテナンスをこの時期におこないたいもの。それを夏の省エネにつなげたい。
編集部で調べたいくつかのTIPSを紹介する。
電力消費量トップ3
家庭の1日での電力消費量は、冬も夏も多い順に、エアコン、冷蔵庫、照明で、この3つで5割以上を占めている。これらの家電の省エネが大きなポイントだ。
エアコン
日本のエアコンはヒートポンプ式が主流。その省エネ性能がいまや海外でも注目され、欧州などで需要が急増しているという。
すでに高性能ではあるエアコンだが、それでも年々省エネ性能は上がっている。まずは自宅のエアコンの年式を調べてみよう。もし買ってからかなり年月が経っているなら、最新型に買い替えるのも手だ。
というのも、エアコンの消費電力はこの10年(2011年と2021年の比較)で約10%効率化しているからだ。

出典)一般財団法人 家電製品協会 「省エネ家電deスマートライフ」
新旧省エネ性能比較の計算について
・冷暖房兼用・壁掛け形・冷房能力2.8kW・寸法規定クラス
・期間消費電力量は、JIS C 9612:2005に基づく通年エネルギー消費効率(APF)から算出された試算値です。 (地域、気象条件、使用条件などにより、値は変わります)
・2011年はクラス全体の単純平均値、2021年はクラスの省エネタイプ(多段階評価★4以上)の単純平均値(小数点以下四捨五入)。
出典:経済産業省 資源エネルギー庁 省エネ性能カタログ(2011年冬版 / 2021年版)
・年間電気代は、期間消費電力量に電力料金目安単価*31円/kWh(税込)を乗じて算出した目安です。
*電力料金目安単価:公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会(2022年7月22日改定)
・このデータは特定エアコンの消費電力量や電気代を保証するものではありません。
買い替えて間もないというご家庭は、掃除をプロに頼もう。筆者もこの冬、買ってから始めて(4年目)掃除を頼んだが、内部にほこりが驚くほどたまっていた。
特に最近流行りのお掃除機能付き機種は、同機能がない機種より作業費が高くなるので躊躇する人は多いと思うが、お掃除機能といっても掃除機と同じで、ダストボックスにたまったほこりは人の手で捨てねばならない。それだけなら自分でやれないことはないが、送風ファンの裏側や水滴の受け皿であるドレンパンの清掃などはやはりプロに頼むのがよさそうだ。
気をつけたいのは業者によって作業の質や費用がまちまちなこと。「完全分解洗浄」を謳っていても、業者によって洗浄する場所がちがうことも指摘されている。「安かろう悪かろう」という言葉もある。業者を値段だけで選ばず、よくサイトを比較し、望む作業がきちんとおこなわれるかどうか事前にチェックするとよいだろう。
換気扇
フィルター掃除はエアコンだけではない。換気扇にはだいたいフィルターが付いているが、なかなか全部には手入れが行き届かない。そして換気扇は家の中に意外と多い。まず台所、浴室乾燥機、ドラム式洗濯乾燥機、加湿機能付き空気清浄機などだ。場合によっては家の常時換気のための換気扇(廊下や脱衣場などにある)もあるだろう。こうしたフィルターも目詰まりしている可能性がある。チェックしてみよう。
面倒に感じるかもしれないが、ファンが回っているところにフィルターあり。普段の掃除を心がけよう。
冷蔵庫
衝撃なのは冷蔵庫の省エネ性能の進化だ。冷蔵庫の消費電力量はこの10年(2011年と2021年の比較)で約39〜46%も効率化しているからだ。10年前の冷蔵庫を使っているご家庭は買い替えを検討してもよいだろう。

出典)一般財団法人 家電製品協会 「省エネ家電deスマートライフ」
新旧省エネ性能比較の計算について
・年間消費電力量は、一定の条件下で行われた試験結果をもとに算出した目安です(JIS C 9801-3:2015による)。
・年間電気代と年間消費電力量は省エネ製品買換ナビゲーション「しんきゅうさん」のデータです。
・このデータは特定冷蔵庫の年間消費電力量や年間電気代を示したものではなく、消費電力量や電気代を保証するものではありません。
使い方では、基本的なことだが、
・熱いものは冷ましてから入れる。
・未開封、常温保存の缶詰、瓶ものは入れない。
・食べ残して容器に入れ保存したまま放置していたものがないか、チェック。
・パンパンに詰め込みすぎない。
など、チェックしてみていただきたい。
一方、冷凍庫では冷蔵室と逆に、ある程度モノを詰め込んでおいた方がいい。凍った食品同士が冷やしあうからだ。

照明
ばかにならないのが照明。LEDの方が消費電力が少ないことは分かっていても、価格が高いことがネックになっていた。だが、電球型LEDランプ普及に伴い、価格はかなり下がっている。白熱電球と比べ、その省エネ性能は一目瞭然だ。
白熱電球と電球型LEDランプで比較すると、年間約86%も消費電力量を削減できる。また、寝室に多い蛍光灯シーリングライトとLEDシーリングライトを比較しても、年間約50%、消費電力量を節約できる。

出典)一般財団法人 家電製品協会 「省エネ家電deスマートライフ」
新旧省エネ性能比較の計算について
・年間点灯時間:2000時間(1日5~6時間点灯した場合)
・光源寿命は、使用環境や使用条件によってばらつきが発生します。
・電気代:電力量1kWhあたり31円(税込)公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会 電力料金目安単価(2022年7月22日改定)
・消費電力:8畳用蛍光灯シーリングライト 68W、LEDシーリングライト 34W、白熱電球 54W、電球形LEDランプ 7.5W
出典:「あかりの日」委員会
LEDは白熱電球より寿命が長いとされる。初期投資が高くても回収までにそれほど年月はかからないものと思われる。実は白熱電球は意外と多くの場所で使われている。
たとえばマンション住まいの筆者の家には、かつて10数個も白熱球が付いていた。玄関灯に始まり、内玄関、トイレ、廊下、風呂、台所、寝室、ウォークインクローゼットなどなど。それ以外にも寝室のシーリングライトx2、ダイニングのペンダント照明が加わる。これだけあると、全部いっぺんにLEDに変えるのはお金がかかりすぎる。少しずつ取り替えるのも手だろう。

また、人感センサー付きや調光機能付きのランプもあるので、検討してもいいだろう。
なお、天井埋め込み式の照明(ダウンライト)をLEDに変えるときは、照明器具が埋め込み部分(反射板)の直径や奥行きに干渉して取り付けられないこともあるので、口金の径や、照明の幅、長さなどを事前に調べることを忘れずに。
洗濯乾燥機と浴室乾燥機
最近人気のドラム式洗濯乾燥機。その乾燥の方法は2種類ある。ヒーター式とヒートポンプ式だ。
ヒートポンプはすでにエアコンでは採用済みだが、洗濯乾燥機に採用され始めてまだ10年程度だ。
ヒーター式が、乾燥機内をヒーターで温め洗濯物を乾燥させるのに対し、ヒートポンプ式は、ヒートポンプが熱交換した熱で衣類を乾燥させる。消費電力はヒートポンプ式の方が少ない。
また、ヒーター式は乾燥時に冷却水を使うが、ヒートポンプ式は使わないので、節水にもなる。低温乾燥なのでヒートポンプ式の方が衣類の縮みや痛みが少ないというメリットも。
ドラム式洗濯乾燥機の購入を考えている方は、まず乾燥方式を確認してみよう。

また、これから梅雨のシーズンになると、外にも干せない、部屋干しは匂いが気になる、と八方ふさがりで悩ましい。
特に大物(タオルケットや敷きパッド、ボックスシーツやかけ布団カバーなど)や、厚手のもの(ジーンズなど)は、部屋で干してもなかなか乾かない。
洗濯乾燥機での乾燥では時間もかかるし、しわになるケースもある。そこで浴室乾燥機があるご家庭はいきおい使うことになるが、こちらも電気式とガス式の違いがあり、それによってかかる費用が変わるので要注意だ。自然乾燥と電気やガスを使った乾燥を併用し、上手に節電するしかない。洗う回数を減らすことは言うまでもないだろう。
省エネ、節電関連の情報サイトやブログなどがネット上にあふれているが、そうした情報をうのみにせず、自分で判断し納得した方法で省エネにチャレンジしたい。
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