- まとめ
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- 夏の日中、フル稼働のエアコン。共用スペース等を利用し電力消費を減らす取り組みが「クールシェア」。
- 「熱中症」で死亡する人の8割は高齢者。
- 「クールシェア」を賢く使うと同時に、家族や近所に見守り・声掛けが大事。
「クールシェア」って知ってますか?
夏の日中(14時頃)はエアコンの電力消費がピークを迎えます。世帯平均で実に6割近くがエアコンによるものです。(図1)
やむを得ない場合を除き、家庭での複数のエアコンの使用を控えたり、図書館や公民館、コワーキングスペース等を利用することで、社会全体のエアコンの使用を減らす取り組みが「クールシェア」なのです。環境省では、気軽に「クールシェア」出来る場所を探せるように、多くの「クールシェア」スポットを「シェアマップ」上で公開しています。
さて、筆者がこの「クールシェア」が大事だと思うのは省エネや環境にやさしい、という理由からだけではありません。見過ごされがちですが、高齢者の健康の問題が実は大きいのです。表1をご覧ください。熱中症で死亡した65歳以上の人の数は2015年で781人、全体の実に約81%を占めています。これは何故でしょう?
出典)人口動態統計
環境省はHPで以下の4つの理由を挙げています。
- 体内の水分不足
- 暑さを感じにくい
- 暑さに対する調節機能の低下
- 頑固・無理をする
これによると高齢者は、若者に比べ体内の水分量が少ないため、脱水状態になりやすく、また、体温調節機能が低下しているため体内に熱がたまりやすいということです。加えて、暑さやのどの渇きを感じにくく、体の出すSOSを感じにくくなっているようです。
特に最後の 4 の「頑固・無理をする」が結構やっかいかもしれません。ご高齢の親御さんがいらっしゃる皆さんは思い当たる節があるのではないでしょうか?よかれと思って言ったのに、家族に注意されると怒ったり、言うことを聞かなかったり・・・経験ありますよね?そもそも高齢者は「周りに迷惑かけたくない」、「人の世話になるのが嫌」、「エアコンは冷えるから嫌い」、「電気代がもったいない」などと考えがちです。
また高齢者は、就寝後の頻尿を気にして水分を控えたり、食事の量や回数が減ったりして、体内の水分量が減ってしまいがちです。特に一人暮らしの高齢者の方は誰も気づかないうちに熱中症にかかる危険な環境に知らず知らずのうちにおかれている可能性があるのです。こうした状態を「かくれ脱水」と呼ぶそうです。
民間企業などが熱中症予防啓発を行っている「かくれ脱水」委員会のHP「かくれ脱水Journal」によると、夏の脱水症状サインには、「べた」「だる」「ふら」「いた」の4つがあるそうです。
- 「べた」は、首筋などがべたべたしてくること
- 「だる」は、元気がなく見えること
- 「ふら」は、めまいや立ちくらみ、少しふらふらしているように見える
- 「いた」は、足がつったり、頭痛が現れている状態
これらの症状が出ると、脱水症から熱中症に進む可能性があり、診断法として、高齢者の手の甲の皮膚をつまんで引っ張り上げた時、「富士山」のようになってなかなか元に戻らないようだと要注意だということです。(図2)
ただ、高齢者本人が気づかない場合や家族と一緒に暮らしていない、もしくは一人暮らしの場合などは、症状の悪化を事前に見つけることは困難です。そこで行政の出番となります。
多くの自治体は行政の公的施設を猛暑避難場所(涼み処)として市民に開放しています。「クールシェア」で電力消費を抑えると同時に、住民の熱中症予防の狙いもあります。かつて筆者が取材に訪れた東京都荒川区では「元祖・本家 あらかわ街中避暑地」(図3)と称し、7月1日から9月30日まで、区の施設を開放すると共に、民生委員らが高齢者宅の戸別訪問を実施しています。普段高齢者施設を利用していない高齢者を呼び込むために落語や講演、お茶会などを実施している自治体もあります。
出典)荒川区役所HP
こうした自治体の「クールシェア」の取り組みは評価できますが、そもそも酷暑の日中に外に出ることそのものが危険行為です。外出しないという選択肢も当然考える必要があります。行政もすべての高齢者宅を訪問することは不可能です。そうした場合、重要になってくるのは、やはり家族や近隣の人の見守り・声掛けです。
無論、働き盛りの貴方も、油断は禁物です。特に夏は冷房の効いている交通機関やビルから外に出たり入ったりすることで、体力を大きく消耗しがちです。「あれ?脱水症状かも?」と少しでも自覚症状に気付いたら、早目早目の「経口補水液」摂取を医療関係者は勧めています。さあ猛暑本番、賢く「クールシェア」しつつ「熱中症」から身を護りましょう。
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