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出典) Pixaby
- まとめ
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- 夏休み自由研究に役立つ情報を集めた。
- スイカやアサガオなど、夏の果物や植物の由来や種類を調べると面白い。
- 発光生物の不思議、蜃気楼のメカニズムなども季節感があるテーマ。
新型コロナウイルス感染拡大による休校措置の影響で、全国で夏休みを短縮する学校が多いようだ。夏休みの宿題の目玉ともいえる、自由研究のテーマはもうお決まりだろうか?
今回は、自由研究に使えそうな情報をテーマ別に集めてみたので、是非活用してほしい。
意外と奥の深い「スイカ」
夏の果物の代名詞ともいえる、スイカ。スイカについて調べてみるのはどうだろう?
スイカの原産地
スイカの起源だが、意外にも遠い南アフリカ・カラハリ砂漠の野生種だといわれている。リビア近辺で約5000年も前の遺跡から種が見つかっている。紀元前4000年代のエジプトの壁画にもすいかが描かれているという。そして、食用としてヨーロッパやアジアに伝わったと思われる。
英語名は「Water Melon(ウォーターメロン)」というが、その名の通り、砂漠の民にとっては水の代わりになる貴重なものだったろう。
日本への伝来だが、意外と遅く、中国から江戸時代(寛永年間 1624~1643)に渡来したという説が有力なようだ。
明治時代になると、海外の品種が輸入され、大正時代後期から昭和初期にかけて海外種との交雑から品種改良が行われた。現在の縞模様のスイカのほとんどは、奈良県の“大和すいか”と千葉県の“都すいか”の二大品種の系統だ。また、種なしスイカは1951年に日本で作られたが、栽培が難しく最近ではあまり普及していない。どうりであまり見ないわけだ。
玉の大きさ
現在出回っている種類は多く、約20種類。種の有無のほか「大玉種、中玉種、小玉種、正円型、ラグビーボール型、俵型」、果肉の色で「赤肉、黄肉、白肉」、果皮の色の違いで「しま模様、黄色、黒色」などに区分される。
最近はパック売りも見かけるが、夏は何といっても「大玉」だろう。気温が30℃を超えると消費が急増するという。現在ではハウス栽培が普及して、一年中出回るようになった。
果肉の色
さて、スイカといえば果肉が赤のイメージが強いが、黄色や白のスイカもある。赤のスイカと黄色のスイカでは、栄養価に違いがある。赤のスイカにはトマトなどで知られている色素リコピンや、カロチン、キサントフィルという色素を含んでいる。黄色のスイカには、リコピンが含まれていない為、赤くならない。リコピンやキサントフィルには強い抗酸化作用があり、動脈硬化の予防や、老化やがんの発生に対しても効果があると考えられている。
味は、黄色いスイカの方がさっぱりした印象がある。しかし最近では品種改良によって黄色のスイカも糖度が上がり、赤スイカと同じくらい甘いものもある。
出典) タキイ種苗
白いスイカの果肉は、白から淡い黄色をしている。赤のスイカに比べてさっぱりした風味を持ち、シャリ感は少ないが口当たりがいい。「銀大和西瓜」や、「クールチャージ潤」などの品種がある。
出典) 野口種苗研究所
調べてみると色々な事が分かって興味深い。スイカの種類を調べたり、食べ比べたり、栽培してみたら面白いのではないだろうか。
参考:独立行政法人農畜産業振興機構
厚労省 e-ヘルスネット
色が変化する夏の花「アサガオ」
小学生に馴染み深い夏の花、アサガオ。
そのアサガオが実は日本独自の園芸植物だと聞いたら誰でも驚くのではないだろうか。
アサガオは、熱帯アメリカ原産の植物だと考えられており、世界中に分布しているが、園芸的に利用されているのは日本だけだそうだ。
日本へは奈良時代、遣唐使によって中国から薬草(下剤)として渡来したと考えられている。江戸時代後期には大阪や江戸で栽培ブームが起きた。
アサガオの原種は青い花を咲かせるが、今では白、赤、紫、茶色などの花もあれば、色々な模様の花もある。
アサガオの花は、その名の通り朝にしか花が開かない。夜の間に開花して、午後になるとしおれてしまう。それだけではなく、花のしおれにともなって花の色が変化する。特に青いアサガオの花は色の変化が観察しやすい。
この色の変化は、アサガオの花の色素であるアントシアニンに由来する。この色素が細胞に含まれている液胞のpHによって色を変える仕組みだ。開花の時は液胞のpH値が上がりアルカリ性になるため鮮やかな青になり、その後次第に液胞のpH値が下がり酸性になるにつれて紫から赤っぽく変化する。
色の変化のメカニズムを実験で確認することもできる。咲いたアサガオの花をビニール袋で覆い、ドライアイスを入れると液胞内に炭酸ガスが溶けて酸性になるため、赤色に変色する。色の変化や模様の違いなどの観察はおすすめだ。
参考:九州大学 大学院理学研究院 生物科学部門/ナショナルバイオリソースプロジェクト(NBRP) 仁田坂英二
日本植物学会
日本植物生理学会
日本学術振興会
光る生きものの不思議
夜光虫
皆さんは、夏休みに夜の海を訪れて波が光っている様子を目にしたことはないだろうか。次は夜光虫について調べてみよう。
夜光虫とは、直径1〜2mmほどの小さな海洋性プランクトンだ。大量に発生することで、海が光って見える。この現象は、4月中旬〜8月ごろの夜が見ごろとなる。なぜなら、海水温があがる夏場にプランクトンの数が増えるからだ。
出典) Hans Hillewaert
波などの刺激によって光るので、波が打ち寄せる浅瀬や、船が通った跡に沿って光る様子がよく見られる。ホタルなど他の発光動物が繁殖などの目的で自発的に光るのに対して、夜光虫は外からの物理的な刺激で光る。
日本では神奈川県鎌倉、愛知県三河湾や石川県能登半島、京都府与謝郡伊根町、島根県や鳥取県などの海辺で見ることできる。晴天が続き一気に気温が上がる日や、雨降り後の蒸し暑い日の翌日に大量発生しやすいので、参考にして欲しい。
ホタルイカ
発光する生物は他にもある。ホタルイカがそうだ。一度は食べたことがあるのではないか。実は「ホタルイカの身投げ」という奇妙な呼び名の現象がある。産卵のために海岸近くまでやってきたホタルイカが砂浜などに打ち上げられ、青白く発光する現象を言う。富山市の四方漁港や八重津浜、岩瀬浜、射水市の海老江海岸などが有名だ。ただしこちらは毎年2月下旬から5月にかけて発生するらしいので、夏休みには見ることが出来ないようだが、光る生きものの一つとして、研究対象としてもいいだろう。
出典) photolibrary
それ以外にも発光生物の代表格は、ホタルだ。ホタルが光るのは求愛行動だと考えられているが、ホタルイカは敵を攪乱するために光るという研究もあるという。その研究は医学や薬学に応用できるのだ。様々な光る生きものを比較してみるのはいかがだろう?
出典) flickr : T.Kiya
夏に見られる不思議な現象
逃げ水
風のないよく晴れた日、アスファルトの道路の遠くが水に濡れたように見えることがある。近づいてみてもそこに水はなく、更に遠くに見える。まるで水が逃げて行ってしまったかのように見えることから「逃げ水」と呼ばれる。
出典) Anton
夏の熱い地面とその上の空気との境目で光が曲がることで、空などが地面に反転して水たまりのように見える現象で、蜃気楼の一種だ。
蜃気楼
出典) Honda Kids 画像提供:魚津埋没林博物館
空気の温度差がある境目で光が曲がることによってできる蜃気楼。夏のアスファルトのもやもやとしたゆらめき、いわゆる「陽炎」も同様の仕組みだ。
その蜃気楼には上位蜃気楼と下位蜃気楼がある。上位蜃気楼は、遠くの景色が上の方に変化するもの。海や湖で稀に見られる。冷気・暖気の境目の温度変化が緩やかなら光は小さく曲がって上に伸び、温度変化が急激なら光は大きく曲がって上に反転する。下位蜃気楼は遠くの景色が下の方に変化するもの。暖気の上に冷気の層がある時、その境目で光が冷気側に曲がり反転する。先に紹介した「逃げ水」はこの下位蜃気楼になる。
蜃気楼は春と冬に観測されることが多い。富山県魚津市は毎年ほぼ確実に春に蜃気楼が出現することで有名だが、残念ながら真夏は見ることができないようだ。
出典) 魚津埋没林博物館
蜃気楼の実験
食塩水を用いて、室内実験を行うこともできる。濃度差がある水の境目で光が曲がることによって蜃気楼と同様の現象を観察することができるのだ。簡単に出来るのでやってみて欲しい。
出典) NGKサイエンスサイト
参考)魚津埋没林博物館
Honda Kids
NGKサイエンスサイト
自由研究のテーマのほんの一部を紹介した。記事中に紹介した参考サイトの中には、他にも色んな自由研究が紹介されている。親子で話し合いながらテーマ選ぶとよいのではないだろうか。
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