写真) pixabay
- まとめ
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- 作業現場や屋外で働く人の熱中症対策が進化している。
- 作業着専業メーカーが機能性とファッション性を兼ね備えた商品を開発。
- そんな商品をコーディネートに取り入れた女子が急増中。
今年の夏も厳しい暑さになりそうだ。5月は梅雨入り前にも関わらず、北海道では最高気温が40度まで上がるなど、季節外れの猛暑日が記録された。夏本番を控え、今年も熱中症対策が欠かせない。そこで今回は、熱中症対策の最新機能性衣服について紹介する。
作業現場、屋外で働く人の熱中症対策
今夏に向けてのおすすめはずばり、「冷感コンプレッションウェア+空調服」。
「コンプレッション」は圧迫という意味。「コンプレッションウェア」は適度に体を包み込み、筋肉をサポートすることで、運動機能を支援する機能がある服のことをいう。元々はスポーツ選手がトレーニングウェアの下に着用していたが、仕事で体を動かすことの多い作業現場で働く人たちの間でも浸透している。
中でも「冷感コンプレッションウェア」と呼ばれるものは、着用時にヒンヤリとした感触が得られ体温の上昇を抑える「接触冷感素材」が使用されている。化学繊維ではレーヨンやキュプラがこの性質を持っている。具体的には:
- ① 繊維中に水分を多く含む。
- ② 熱伝導率・熱拡散率が高い。
- ③ 触った時に少し硬く感じる(シャリ感)。
(日本化学繊維協会による)
さらに吸湿性と速乾性に優れ、汗を吸収して蒸発させ、その気化熱で体を冷やす仕組みだ。体温を下げることで、身体への負担や、疲労を軽減する効果が期待できる。
インナーウェアやヘルメットインナーなどの製品があり、特に、接触冷感、抗菌、消臭機能のついたものが熱中症対策用として販売されている。価格は、インナーウェアで大体1,000円前後と買い求めやすいものが多い。
提供) ワークマン
一方、「空調服」とは、小型のファンを装着した作業着だ。ファンで外気を取り込み、服の中で大量の風を循環させ、汗を一気に蒸発させる。炎天下の作業現場でも汗をかきづらく、熱中症予防として効果的だ。ヘルメットをかぶるときに首筋に風を送る「空調ヘルメット」もある。
一部の電力事業者も空調服の導入を進めている。小型ファンで外気を取り込み、服と体の間に流れた空気が汗を気化させることで衣服内を涼しく快適に保つ仕組みが一般的だ。
提供) 中部電力株式会社
バッテリーは内側の専用ポケットに収納でき、空調服とバッテリー含め約800gと軽量で、作業に支障がでないようになっている。ファンの風速にもよるが、8~24時間程度の連続使用が可能だ。
真夏の屋外はもちろんのこと、屋内の無風空間での作業は暑さとの戦いだ。過酷な現場環境の中、空調服を着用することで、身体への負担軽減、集中力の維持、作業効率の向上にもつながっている。また、訪問して作業する場合には、汗が気にならないことに加え、お客さまにも不快感を与えにくいことから、夏季に欠かせないアイテムのひとつとなっている。
出典) 株式会社空調服
機能性とファッション性の両立
作業着・作業用品は、機能性ばかりを重視していて、おしゃれじゃないと思っている方も多いだろう。
しかし、「作業着=機能性重視=ファッション性ゼロ」という考えは、今や時代遅れになっている。多くのメーカーが、カジュアルなデザインの商品を開発したり、女性向けの色やサイズを増やしたり、機能性とファッション性を兼ね備えた商品開発に注力している。
ワークウェア業界の中でもお洒落でかっこいいと評判なブランドが「BURTLE(バートル)」だ。女性専用のワークウェアが人気だ。
出典) バートル公式インスタグラム
一見、作業着には見えないくらいスタイリッシュで、若者が支持している。作業着メーカーもイメージチェンジを図っている。
出典) バートル公式インスタグラム
会社名がそのものずばりのところもある。空調服のパイオニア的存在、「株式会社空調服」がそれだ。「普段使い」をキーワードにカジュアルでカラーバリエーションも豊富だ。
出典) 株式会社空調服
編集部が注目したのが今年の最新モデル、次世代型空調服™ファンフィット 「FAN FIT」。
特徴は手元のリモコンでファンを操作できること。これまで操作のたびにバッテリーをポケットから取り出す必要があったが、このシリーズはコントローラーで、風量の切り替えとバッテリー残量の確認ができるようになり、利便性が向上した。
出典) 株式会社空調服
そして最近、店舗数がユニクロを抜いた、とニュースになりメディアの注目を集めているのが「ワークマン」だ。もともとプロ向け作業着の専門チェーン店として知られていたが、その新業態が今注目されている。
ワークマンの新業態「WORKMAN Plus」
それが、2018年9月にオープンした「WORKMAN Plus(ワークマンプラス)」だ。プロ向けの作業着・作業用品は扱わず、一般向けの高機能ウェアに特化した品ぞろえで、一般顧客への浸透を狙った。その結果、売り上げは好調で、今後も店舗数を増やし、2020年3月期末には77店舗とする方針だ。
© エネフロ編集部
ワークマン女子
最近では、ワークマンの製品に、新たな要素「かわいい」を見出した客層が注目を浴びている。「ワークマン女子」なる言葉も誕生した。
提供) ワークマン
「ワークマン女子」とは、ワークマン製品をコーディネートに取り入れる若い女性のこと。Twitter や Instagram といったSNSで、「#ワークマン女子」と検索すると、多くの投稿がヒットする。SNSに投稿された、女性たちの生の声を聞いてみよう。
1.機能性
女性たちは、幅広い場面で活用できる機能性に魅力を感じているようだ。「キャンプやアウトドアに大活躍」「遠足とか運動会にも良さそう」「お出かけ着にもなる優れもの」「そこらの何万もするのと遜色ない」
2.低価格
高い機能性にもかかわらず、破格の安値であることも、魅力の一つだ。
「コスパ良い」「思いっきり汚れても破れても後悔ない」
3.ファッション性
女性向けに新たに加えた色やデザインの商品はもちろん、従来のシンプルなものについても、「落ち着いたカラーで合わせやすい」などの評価も。ワッペンをつけるなど、自分でアレンジをしている人もいるという。
実際にワークマンプラスへ
編集部スタッフが実際に都内のワークマンプラスの店舗を訪れた。店に入ると、作業着専門店という先入観は完全に裏切られた。
商品の内訳は、アウトドア・スポーツ用の商品が約8割。高機能衣類が中心で、アーバンライフ向けの印象だ。
提供) ワークマン
客層は、男性客が6割、女性客が4割。女性客のほとんどがカップルやご夫婦、息子を連れた母親など、男性と一緒に来店していた。
女性客に話を聞いてみた。
カップルで来店されていた女性は、「彼のものを選ぶのに一緒についてきた。上着や靴など、おしゃれなのに安いので、買ってみようかな。」と検討中。
ご主人と来店された女性は「特にメンズの肌着は安くて、機能性も高いので重宝している。」と数点購入していた。
アウターをはじめ多くの商品は、街中での普段着に適している。手頃な価格設定は魅力的だ。
店員さんに話を聞いたところ、「最近、女性客が増えている。人気商品はすぐに売り切れて入荷待ちの状態。」と、売れ行きも好調のようだ。店内の取扱商品は8割ほどがメンズ商品なのに対し、女性客が増えている理由は何か。メンズのSサイズやMサイズを、女性がオーバーサイズ気味にゆるっと着用するのが流行っているとのこと。
編集部スタッフSも人気商品のレインジャケットを試着した。コスパがよくても、オシャレでないと購入をためらってしまうSだが、着心地の良さとファッション性の高さに惹かれ購入。これからの季節、急な雨にも対応でき、アウトドアでも重宝しそうだ。
© エネフロ編集部
2019年のクールビズ
最後に今年のメンズクールビズファッションについて。
昨年のクールビズの記事でも触れたが、業種によっては行き過ぎたカジュアルスタイルはちょっと・・・というところもまだまだ多そうだ。チノパンにポロシャツ、というファッションに抵抗感がある人も多かろう。今年編集長が見つけたのは、ポロシャツと同じ素材だが、下までボタンになっている「フルオープンスタイル」のもの。シャツをパンツの中に入れれば、ぱっと見半袖ワイシャツのように見えて、取引先などに着ていっても失礼な感じはしないのではないだろうか?
© エネフロ編集部
© エネフロ編集部
気象庁の予報によると、今年の梅雨の時期の気温は全国的に高め、7月8月の気温は平年並みで去年のような猛暑になる可能性は低いが、降雨量は平年並みか多くなるとのことだ。
熱中症は気温だけでなく、湿度が高いときにも要注意。ただでさえ体力が奪われる季節、快適な服装で体調管理には十分気をつけていただきたい。
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