
米・オレゴン州海岸付近の海底から調査発掘されたメタンハイドレート
- まとめ
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- メタンハイドレートとは未来の化石燃料
- 日本近海に多く存在、資源大国になる可能性も
- 実用化に向けた課題も存在。
未来の化石燃料メタンハイドレート
メタンハイドレートとは、メタンなどの天然ガスが水と結合してできた固体の結晶で、天然ガスが固形になったものです。海底の冷たい地層に水圧が加わって生まれたと言われており、見た目は氷に似ていて、火を近づけると燃えるため、「燃える氷」とも呼ばれています。
また燃えた後には水しか残らないという不思議な物質で、燃焼する際に排出される二酸化炭素などの量が、石油や石炭に比べて少ないため、次世代のクリーンエネルギーとして注目されているのです。
陸上では、北極や南極のような永久凍土が発達している地域。また 海洋では、水深500メートルより深い場所に限られていますが、なんと日本の周辺海域に多く存在することがわかってきました。


日本が資源大国になる可能性
21世紀の夢の資源として注目されているこのメタンハイドレート、日本人が使う天然ガスの100年分以上が日本の海底に眠っていると見られています。
燃料資源のほとんどを海外からの輸入に頼っている日本にとっては願ってもない貴重な、国産の天然ガス資源です。また、アメリカがシェール層にあるガスや原油の採掘技術で、エネルギー革命を起こしたように、日本もメタンハイドレートの技術開発に力を入れることで、資源外交の切り札にすることも可能です。
さらに、日本にとって有利と見られているのが、メタンハイドレートのクオリティーです。太平洋側の南海トラフに見られるメタンハイドレートは砂や泥が混じっており採取が困難であるのに対し、日本海に多く見られるメタンハイドレートは純度が高く、実用化の可能性が高いと見られています。

実用化への課題
メタンハイドレートの一番の課題はその採掘コストでしょう。採掘するのに多大なエネルギーを要するのでは意味がありませんから、コストが商業ベースに見合うものでなければなりません。そのためには更なる調査研究が必要です。
また、地球温暖化や地盤沈下を懸念する声もあります。アメリカは フラッキングという技術によりシェールガス・原油の採掘を可能にしましたが、この技術により、近隣地域での公害の発生や、地震を誘発しているとの疑いが持たれています。メタンハイドレートも採掘中にメタンが漏洩する可能性が指摘されるなど、環境汚染が懸念されています。しかし、資源としての重要性がわかってきたのはここ20年ほど。今後、環境に配慮した技術開発が進む可能性はあります。
昨年の経済産業省の試算によると、日本がメタンハイドレートを2030年代後半に実用化した場合、3兆3億円程度の売り上げが見込めると予想されています。いずれにしても国産エネルギーを持たない日本にとって「メタンハイドレート」は安全保障上重要な戦略的新エネルギーと言っても過言ではありません。長期的視野に立ったエネルギー戦略の構築が必要となります。
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