写真)傘をさして歩く人々 2020年6月30日 東京
出典)Photo by Carl Court/Getty Images
- まとめ
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- 日本は傘消費大国、なかでもビニール傘の消費が多く、その廃棄が、問題になっている。
- 定額で傘をレンタルできるサブスク型サービスや、購入した後回収するリサイクル型サービスなどが誕生している。
- 一番大切なのは、「傘をつかいすてない」という意識。梅雨が本格化する前に考えたい。
梅雨もいよいよ本格化。うっとうしい季節がやってくる。2022年5月4日、早くも気象庁は沖縄の梅雨入りを発表した。平年より6日早い梅雨入りだった。
2022年梅雨入り予想
日本気象協会の全国梅雨入り予想によると、遅くとも6月中旬までには全国で梅雨入りするようだ。
出典)日本気象協会 tenki.jp(ホームページ https://tenki.jp/)
※無断転載禁止
また、日本気象協会の長期予報(3か月予報・2022年4月19日発表)によると、沖縄・奄美では5月に曇りや雨の日が多く、北日本と東日本、日本海側では6月後半に曇りや雨の日が多く、西日本では6月は平年に比べ曇りや雨の日が多い予測となっている。
ビニール傘廃棄量世界一の日本
さてこれからの季節、本格的に傘の出番となるが、日本人は世界でも類をみない傘好きだ。霧雨くらいでも傘を差すのが日本人。海外ではめったに見かけない。
傘の消費量もダントツだ。日本洋傘振興協議会によると年間1億2,000〜3,000万本もの傘が消費されている。問題はその中身だ。公式な統計はないが、ビニール傘が8,000万本も含まれていると推計されているのだ。
たしかにビニール傘はコンビニに行けばすぐ買えるし、万が一どこかに置き忘れたり、他人に持っていかれたりしても、安いので惜しくない。そんな気持ちがあるからこの大量消費につながっているのではないだろうか。
実際、にわか雨などの後、道端にビニール傘がすててあるのを見かけることは多い。ビニール傘は強い雨風には弱いので、壊れたらすててしまう人が多いのだろう。要はすてること前提で買っているともいえる。それが大量廃棄につながっている。
出典)© pakutaso
東京都の忘れ物の内、約8%の25万点が傘だが、持ち主に返るのは1%にも満たない。(令和3年度:警視庁調べ)いかに私たちが傘を軽視しているかがわかる。
こうして日本では多くの傘が大量消費、大量廃棄されている。ビニール傘は産業廃棄物処理業者にとってもやっかいものだ。ビニールやプラスチック、鉄など、分別に手間がかかり、リサイクルに見合わない。どのパーツも土にかえる材質ではないため、環境負荷は極めて大きい。
この問題を解決するためのサービスがいくつか立ち上がっている。
ビニール傘に対する新しい取り組み
①傘のシェアリングサービス「アイカサ」
「傘を持ち歩かない生活」を提案しているのが「アイカサ」だ。
使いたい時にいつでも丈夫な傘を24時間70円、もしくは月額280円使い放題で借りることができるシェアリングサービスだ。後者は、サブスクリプション型になっている。
設置場所は、駅、商業施設、コンビニ、飲食店など。アプリでレンタルスポットを検索でき、返却も好きな時に近くのスポットで可能だ。
特に「U22応援プラン」は16歳から22歳対象で、何度レンタルしても0円の思い切ったもの。
今後普及するかどうかはレンタルスポットがどこまで増えるかにかかっていそうだ。
出典)© アイカサ
②循環型傘「Re:傘」
「Re:傘」は、傘を購入し、使用した後いらなくなったら返却することができるサービスだ。GREEN UTILITY株式会社が2022年2月28日より、セブンイレブン一部店舗で先行してサービスを開始している。
返却された傘はリサイクル資源となる。傘を購入する、回収する、リサイクルして資源として利用する、という環境にやさしい循環型システムだ。
回収機(返却機)に返却された使用済みの傘は、あとで回収され、リサイクルされる。
出典)Re:傘 (ホームページ https://www.rekasa.jp)
一方、自分で修理できる、「つかいすてない傘」も誕生した。
株式会社サエラ、株式会社PALTAC、株式会社TBMは、再生プラスチックを50%以上配合した「CirculeX(サーキュレックス)」製のつかいすてない傘「サステナブレラ」を3社で共同開発した。4月末よりコンビニやスーパーなどで順次販売する予定だ。
サステナブレラの傘生地とハンドル部分は、国内の使用済みプラスチックが素材として使われている。「オールプラスチック」なので耐久性と安全性に優れる。
さまざまなサービスを紹介したが、環境負荷をいかに減らすかという問題は、つきつめれば私たち一人一人の意識の問題だ。梅雨が本格化する前の今こそ、傘との向き合い方を考えてみたい。
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