写真)イメージ
出典)pakutaso
- まとめ
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- 新型コロナウイルス感染拡大で、さまざまな病のリスクが上昇。
- お酒の飲みすぎによる身体への影響やアルコール依存症に注意。
- メンタルヘルス不調のリスクも上昇。セルフケアと相談窓口の活用を。
新型コロナウイルスの感染が拡大しはじめてから、あっという間に1年8か月経った。感染拡大に伴い、飲食店の営業時間短縮や自粛、各種イベントの中止が余儀なくされ、私たちの生活スタイルも大きく変化した。
「ウィズコロナ」の時代を迎える中、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う生活の変化によって、意外な「病」のリスクが高まっている。私たちの健康を脅かすそんな「病」について考えたい。
アルコール依存
首都圏では緊急事態宣言が長引き、飲食店でのアルコール提供が長期間に渡って自粛されている。しかし、アルコールの摂取量が増加しているというデータもある。
キリンホールディングス株式会社が、月に1回以上飲酒する全国の20〜50代の男女1,000名を対象におこなったアンケート調査によると、コロナ禍でお酒を飲む量が「とても増えた」、「増えた」、「少し増えた」と回答した人は全体の29.5%に上り、「とても減った」、「減った」、「少し減った」と回答した11.1%を上回る結果となった。
また飲酒の頻度についても、コロナ禍でお酒を飲む頻度が「とても増えた」、「増えた」、「少し増えた」と回答した人は全体の33.4%だった。反対に「とても減った」、「減った」、「少し減った」と回答した人は全体の11.6%を占めるなど、コロナによってお酒を飲む量、機会ともに増えていることが伺える。
テレワークの普及で「家飲み」がなんとなく習慣になってしまったり、自宅だからと安心してつい飲みすぎてしまったり・・・。身に覚えのある人も多いのではないだろうか。
お酒は節度を守って楽しむのが肝要だ。大量の飲酒は、肝臓や膵臓、脳・神経などのさまざまな臓器に悪影響を及ぼし、がん、肝障害、心血管疾患などのリスクを高める恐れがあるといわれている。
飲酒の適量はどれくらいを指すのだろうか。厚生労働省は、「節度ある適度な飲酒」が1日平均純アルコールで約20g程度だとするガイドラインを制定している。また、一般的に女性は男性よりもアルコールの分解速度が遅いため、女性の飲酒量は男性に比べて少なくすることが推奨されている。
純アルコールで20gとはどれくらいの量を指すのか。お酒の種類別の目安は以下のとおりである。
ビールのロング缶(500ml)、清酒1合、ワイン2杯弱などが適量にあたる。もちろんアルコールの分解能力は人それぞれだが、日常的にこれを大幅に超える量を飲酒している人は注意が必要だ。
アルコールに関連する問題も深刻化している。その一つがDV(ドメスティックバイオレンス)被害だ。内閣府の発表によると、2020年度のDV被害の相談件数は、過去最多の19万30件である。これは前年の実に約1.6倍にも上る。
出典)内閣府男女共同参画局
今年に入ってからは、ひと月ごとの相談件数が最も多かった3月で1万7,320件にものぼっているが、その多くが飲酒時に起こっているという。
飲酒関連ではほかにも気になるデータがある。警視庁によると、飲酒運転による
出典)警視庁
大量の飲酒が常態化すると、アルコール依存症に陥る危険もある。アルコール依存症とは、長期間多量に飲酒することでアルコールに対し精神依存や身体依存をきたす精神疾患だ。飲酒量のコントロールが効かなくなった状態であり、無理に飲酒を止めようとすると、イライラ・不安感、不眠、頭痛、動悸、倦怠感など、さまざまな症状が現れる。
アルコール依存症は「否認の病」と言われるほど自覚が難しく、それ故適切な治療を受けられないケースが多い。厚生労働省によれば、アルコール依存症者の疑いがある人は全国でおよそ292万人、重症アルコール依存症患者は109万人いると推定されるが、入院や外来によって治療を行っているのはわずか4万9,000人程度だという。「自分はアルコール依存症ではない」、「確かに問題はあるが、やめようと思えばいつでもやめられる」と思っている間に症状が進行してしまう。
アルコール依存症にはWHOによって開発されたAUDITというスクリーニングテストがある。飲酒習慣について10個の質問に答えることで、アルコール依存症のリスクを診断できる。
メンタルヘルス不調
新型コロナウイルス感染症拡大で、自分や家族が感染する不安や長引く自粛での疲れ、慣れない環境への適応などにより、多くの人が不安やストレスを知らず知らず抱いていることだろう。
厚生労働省が昨年おこなったアンケート調査によれば、およそ半数の人が気分の落ち込みなどの不安感を感じたと回答した。全国で緊急事態宣言が発令された4月から5月にかけては、6割以上に上る。
出典)厚生労働省
外出の自粛が求められる中、誰かに相談したり、不安を吐き出したりする機会も大幅に制限されている。不安やストレスを一人で抱え込む状態が長期化すると、適応障害やうつ病、自律神経失調症などのメンタルヘルス不調に陥る危険性が高くなる。
こころの健康を保つためには身体と同様、自分自身で適切なケアをおこなうことが大切となる。ここでは国立精神・神経医療研究センターの情報を参考に、その一部を紹介しよう。
情報との付き合い方を見直す
テレビの情報番組や、インターネット・SNS上では、信ぴょう性が不明瞭な情報や過度に不安を煽る表現があふれている。国や自治体などの公的機関が発信する正しい情報を参照したい。その為には、長時間テレビを見続けたり、ネットサーフィンをやり続けるのではなく、例えば朝の1時間だけ、などと時間を決めて情報収集をおこなうことが有効である。
大切な人とのコミュニケーションを保つ
自治体からの自粛要請が出されている場合は、人との密接な接触は避ける必要があるが、コミュニケーションを過度に控えると孤独感を感じやすくなる。例えばオンライン上のテレビ電話など、お互いの顔が見える形でのコミュニケーションを心がけたい。
過度のアルコール・カフェインの摂取を控える
過度なアルコール摂取は健康に害を及ぼし、依存のリスクを高める恐れがある。また、カフェインは摂取すると交感神経系を刺激し、不安や緊張している時と同様の体の状態になる。不安を和らげるためには、カフェインを控えたい。
マインドフルネス瞑想
近年「マインドフルネス」という概念が注目されている。日本マインドフルネス学会によれば、マインドフルネスとは「今、この瞬間の体験に意図的に意識を向け、 評価をせずに、とらわれのない状態で、ただ観ること」である。自分の不安や考えに気づき、客観的に捉えることで心身のコンディションを整えることを目指す。
マインドフルネス瞑想の手順は以下のとおり。
1. 座った状態で目を閉じ、呼吸に意識を集中する
2. 途中でさまざまな考えが浮かんできたら、その考えに気づき、また呼吸に意識を戻す
3. これを毎日15分から25分間繰り返す
呼吸法
感情と呼吸は密接な関係があり、心身が緊張した状態になると、呼吸は浅く短くなり、眠っている時やリラックスしている時は深くゆっくりになる。呼吸を落ち着けることで、副交感神経の働きが高まり心身の緊張を和らげることができる。パソコンを前に長時間作業をしていると、呼吸が浅くなる傾向があるとされている。呼吸法はさまざまあるが、その一例を紹介する。
楽に椅子に座り、両足が床についている状態にしておこなう。
1. 軽く息を吸う
2. 身体の力を抜き、6秒間かけてゆっくりと吐く
3. 3秒間息を止める
深呼吸をする習慣がない人は下記動画も参考にしてみて欲しい。
また、東京歯科大学准教授の宗未来氏らによる「第3波直前の我が国における、コロナ禍でのうつ状態と自殺念慮に関するリスクの 検討:「新型コロナウイルス流行下における心身の健康状態に関する継続調査」 第一回調査結果より」によれば、以下の人々はうつ病や自殺念慮(死にたい気持ち)を持つ割合が低かった。
・相談相手のいる人
・規則正しい生活を送る人
・過去1か月間に仕事以外で知り合いと直接会った人
・過去1か月間にLINEなどのメッセージアプリで連絡を頻繁に取った人
他人とのコミュニケーションの機会を確保する、そして規則正しい生活を続けることで、こころの健康を維持できるとしている。
出典)pakutaso
ここまで自分でできる対処法について紹介したが、2~3週間以上眠れない、食欲がない、気持ちが晴れない、不安で仕方がないなどの状態が続く場合は、迷わず専門家に相談しよう。厚生労働省のウェブサイト、新型コロナウイルス感染症対策(こころのケア)には国や自治体が設ける相談窓口が掲載されており、電話やSNSで気軽に問い合わせて欲しいと呼び掛けている。
新型コロナウイルス感染症によって私たちの生活環境は今後も変化を強いられるだろう。専門家は、日々の生活の心がけで心身の不調は予防したり改善したりすることができるとみている。普段から心身の状態を定期的にチェックし、健康な生活を送ることができるようにしたい。
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