- まとめ
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- 熱中症とは「高温多湿な環境下、体内の水分・塩分バランスが崩れたり、体温調整機能がうまく働かない状態。」
- 熱中症の症状が出たらすぐ応急措置を取りましょう。
- 水分補給、正しく冷房を使う、適切な服装で予防することが大切。
今年の熱中症による救急搬送人員数の統計を見ると、5月1日から8月6日までの間で37437人が搬送されており、昨年同時期と比較すると、約7000人増えている(前年同期比約20%増)ことがわかります。(図1)
熱中症とは、「高温多湿な環境下で、体内の水分や塩分のバランスが崩れたり、体温調整機能がうまく働かないこと」(厚生労働省)です。
人間の体は、平常時、以下のように体温を調整しています。(図2)
しかし、高い気温や湿度であったり、風が弱かったりといった「環境」要因、高齢者や乳幼児、脱水症状や体調不良が起きているといった「身体」要因、そして、長時間水分を取らなかったり、屋外での活動だったりといった「行動」要因が重なると、バランスが崩れて体温調整が出来なくなり熱中症になります。(図3)
一般社団法人日本気象協会によると、熱中症の症状は以下の通りです。
- めまいや顔のほてり、立ちくらみ
- 筋肉痛や筋肉のけいれん
- 体のだるさや吐き気
- 汗のかき方の異常
- 皮膚の異常
- 呼びかけに反応しない、まっすぐ歩けない
- 水分補給が出来ない
これらの症状がひとつでも出たら、熱中症の危険性があります。意外とただの疲れだろう、などと軽く考えていませんか?すぐに、応急措置を取ってください。(図4)
熱中症は確かに命の危険を伴うものですが、未然に防ぐことができます。様々ある予防法を厳選してお伝えします。
1. 服装
皮膚表面まで気流が届き、汗を吸って服の表面から蒸発させることができる服が理想的です。特に下着は、吸水性に優れた素材がよいでしょう。最近では吸汗・速乾の新素材が開発されています。外出するときは熱を吸収する黒色のものは避けましょう。また、首や襟元は開け、熱気や汗を外へ逃がしましょう。
2. 冷房の使い方
熱中症で搬送された約半分の人が室内で熱中症にかかっています。我慢せずに冷房を活用することが大切です。
熱中症で死亡する確率が高くなるのは、30℃を超えた頃からだといわれています。本シリーズVol.06 「つけっぱなし」がお得?エアコン豆知識でも紹介しましたが、最低でも「室温28℃」のキープを心がけましょう。
ただ、外気温と室温の差が大きくなると、出入りする際に体の負担が大きいので注意が必要です。また、湿度が高いと体温が上がり、熱中症になりやすくなるので、除湿機能もうまく使うようにしましょう。
3. 水分補給
熱中症の予防には、しっかり汗をかいて気化熱で体温を下げることがとても重要です。そして汗をかいた後は、汗で失った水分や塩分を適切に補給する必要があります。
暑い日には、知らず知らずに汗をかいているため、こまめに水分を補給しましょう。また、人間は軽い脱水状態の時はのどの渇きを感じません。のどが渇く前、あるいは暑いところに出る前に水分を補給しておくことが大切です。
しかし、やみくもに水分を取ればいいというものでもありません。アルコールやカフェインは利尿効果があり、体内の水分を排出してしまうため、吸収した以上の水分を失ってしまうことになるので注意が必要です。
また、水だけ飲むと体内の塩分濃度が薄まり、塩分濃度を維持しようとして水が排出されてしまいます。そのため、水分吸収率が高いミネラル、塩分も含まれているスポーツドリンク、あるいは水に塩を一つまみ加えたものがおすすめです。ノンカフェインで、ミネラルが入っている麦茶もよいそうです。
熱中症の症状が出たらすぐに対応すること。そして普段から予防すること。これらを心がけて、あなた自身、そしてあなたの大切な人の命を守りましょう。
- 参考)
- 「いしゃまち」HP
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