写真)「AirFree®」車両装着イメージ
出典)株式会社ブリヂストン
- まとめ
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- EV化と自動運転技術が加速、自動車業界は大きな転換期を迎えている。
- パンクしないタイヤなど、革新的な技術が開発されている。
- 次世代タイヤは、安全な自動運転実現への貢献も期待できる。
現在、自動車業界は100年に1度の変革期にあるといっても過言ではない。ガソリンエンジン車からEVへの移行がこれほどまで急速に進むとは誰も予想できなかっただろう。
そして、自動運転技術も日進月歩だ。これまでエネフロでは、自動運転バスや自動運転タクシーなどの開発状況について紹介してきた。(参考記事:「自動運転社会目前 日本はタクシー/トラック、どっちが先?」(2023.11.28)、「加速する自動運転 日本の現状は?」(2024.04.09)、「全国で加速する自動運転バス実証実験 レベル2の商用化、近づく」(2024.07.16))
こうした技術革新の背景には、脱炭素社会や、資源循環型社会への転換を求める世界的な潮流がある。よりクリーンで安全なクルマが求められる時代になり、車体だけでなく、車が走るのに不可欠なタイヤにもイノベーションの波が来ている。安全性能と環境性能の双方を高次元で両立させるタイヤの開発が求められるようになってきたのだ。
そうしたなか、従来の常識を覆す次世代タイヤが開発中だ。
次世代タイヤとは
開発したのは株式会社ブリヂストン(以下、ブリヂストン)。そのタイヤは、「空気充填が要らない」のだという。「AirFree®」と名付けられたこの次世代タイヤの開発は2008年にスタートした。
その最大の特徴は、なんといっても「パンクしない」こと。空気の代わりに側面の特殊形状スポークが荷重を支えることで実現した。
また、今回採用された青色スポークは、日中から夕暮れ時まであらゆる明るさにおいて高い視認性を確保でき、安全性の向上が期待される。
加えて環境にも配慮されている。路面に接するゴムの表面(トレッド)は貼り替えることができる(リトレッド)ほか、スポーク部分の樹脂もリサイクルできるので、資源の効率的な活用とサーキュラーエコノミーの実現に貢献するとしている。
出典)株式会社ブリヂストン
ブリヂストンは、「AirFree®」の実用化に向け、今年3月よりイノベーション拠点である、Bridgestone Innovation Park(東京都小平市)近郊の公道で実証実験を開始している。
出典)株式会社ブリヂストン
次世代タイヤと自動運転
こうした次世代タイヤは、パンクのリスク低減、メンテナンスの簡素化、耐久性の向上など、車にとって多くのメリットがある。特に、空気圧に関するメンテナンスを省力化でき、タイヤの重要性がより高くなる自動運転と組み合わせることで、高齢化・地方の過疎化・労働力不足による移動の制限と言った地域社会におけるモビリティ課題の解決が期待されている。こうした次世代タイヤの特徴により、安全な自動運転実現への貢献も期待できる。
ブリヂストンは今後、実用化に向けた課題を実証実験で検証していくとしている。青色スポークのエアレスタイヤを装着した車を見る日は、意外と近いかもしれない。
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