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- まとめ
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- 新型コロナでテレワークをする人が増加、様々な経費負担が発生。
- 通信回線費、光熱費など増加するも、負担する企業はまれ。
- 在宅時間が増える世帯に向け、電気料金プランを提供する企業も。
新型コロナウイルス感染症の影響で急遽普及したテレワークに人々も少しずつ慣れてきた。「通勤電車に乗らなくていいから時間が節約できる」、「誰にも話しかけられないので仕事に集中できる」などテレワークの恩恵を実感している人がいる一方、「思いがけない出費が増えてしまった」という人もいる。今回はテレワークによって新たに発生する費用について見てみたい。
テレワークにかかる費用とは
そもそも、テレワークにかかる費用にはどのようなものがあるのだろう。実は、厚生労働省が以下のような例を挙げていた。
①情報通信機器の費用
タブレットやパソコン本体、周辺機器などの費用
②文具、備品、宅急便などの費用
文具消耗品や切手、宅配メール便の費用
③通信回線費用
無線LAN等の通信費用。新たに工事が必要な際はその工事費も含む。
④水道光熱費
このうち①情報通信機器については企業が機器を貸し出し、②文具、備品、宅配便等については従業員が一時的に立て替えて、通常の経費と同様に処理することで、会社が費用を負担するケースが多い。
それでも、在宅勤務を始めるにあたって新たに購入したヘッドホンや小型スピーカー、机、椅子などの什器などは基本的には自己負担になるケースが多いようだ。
一方、通信回線費や水道光熱費は、①②とは異なり、業務で使用した費用とプライベートで使用した費用の区別が難しい。家族などの同居人がいればなおさら区別できないだろう。そのため、これらを企業が補てんする際は、企業が手当を支給することで対応することが多い。
例えば、「株式会社メルカリ」は「自宅での勤務環境構築やオンライン・コミュニケーションなどのため」として6万円(半年分)の支給を発表した。また「株式会社ドワンゴ」は「電気代・通信費等手当」として全従業員に週当たり551円を支給、さらに小・中・高校生の子供を扶養している社員に対しては追加で「休校手当」を週当たり551円支給している。
テレワークに関する費用負担について、厚生労働省は『テレワーク導入のための労務管理Q&A集』にて「テレワークを導入する前に、通信費・水道光熱費など負担について明確なルールをつくり、従業員に対して、丁寧に説明することが必要」だと説明している。つまり、テレワークを新たに導入する企業は必要に応じて就業規則を変更すること等が求められるのだ。就業規則の作成義務がない企業であっても、労使協定を結んだり、労働条件通知書で従業員に通知したりすることが必要だと思われる。
出典) 写真AC
テレワークの費用を試算してみた
では実際、テレワークで費用はどれくらいかかるのだろう。少々古いデータだが、株式会社アイ・グリッド・ソリューションズは、自身が手掛ける電力供給サービスの契約者を対象にテレワークについての調査を実施し、3月15日から30日間の電気消費量について分析している。
これによると、「テレワークを実施した」と回答した世帯のおよそ6割は、去年の同じ時期と比べて電気使用量が増加していたことが分かった。増加量を金額に換算すると平均で約1700円程度だった。在宅時間が増え、照明や家電、パソコン等電子機器の利用が増えたことが原因だと考えられる。
企業からの補てんについては、およそ8割の世帯が光熱費・通信料などのサポートを勤務先から「支給されない」と回答した。「支給している」と回答したのはわずか4%で、手当を支給している企業はごく一部にとどまっている。
また、テレワークにおける負担を聞いたところ、およそ3割が光熱費の増加を挙げた。社員に在宅勤務を求めながら、費用面を含め対策は社員任せになっている企業も少なくないようだ。
これから気温が上昇するにつれ、エアコンの使用が増えると、電気料金の増加が懸念される。エアコンを日中8時間×20日使用すると、電気代はおよそ2000円増加すると言われている。(注1)
テレワークを行っていなくても、外出を控えがちになりそうなこの夏はいつもより在宅時間が増えそうだという多くの人にとって気になる問題だ。
新料金プランも
2016年4月に電力小売業が自由化されて以降、新たに参入した電力会社が大手電力会社よりもお得な料金設定のプランを提供している。電気料金のプランを見直すと、今までよりも電気料金が抑えられるかもしれない。
特に生活環境の変化を余儀なくされている子供のいる世帯などに対し、今夏の在宅時間を快適に過ごせるようにと、新たな電気料金プランを開発する動きも出始めた。
「中部電力ミライズ株式会社」は、22歳以下の人が住む契約世帯を対象に、8・9月の電気料金を割引する「お子さま世帯 夏の生活応援割引」を実施すると発表した。
電気料金の負担を少しでも軽減してもらおうという狙いだ。家庭向けWEBサービス「カテエネ」内の専用ページで6月25日まで申し込みを受け付けており、新たに契約する世帯も割引の対象だという。
また、「シン・エナジー株式会社」は新たに平日昼間時間帯(9時~18時)の単価が安くなる「【昼】生活フィットプラン」を発表した。月間使用量が600kwの場合、年間で2万5千~4万5千円ほど電気料金を下げられるとし、6月から北海道をのぞく全国からの申し込みを受け付ける。期間を限定せず、平日昼間の電気料金が最も安くなるプランを提供するのは業界初だという。
出典) シン・エナジー株式会社
テレワークの費用を抑える為に、電気料金プランを見直すことも検討してみたい。ウィズ・コロナ、ポスト・コロナなどという表現もよく耳にするようになってきた。エネルギー消費、供給共に大きな変化がおきそうだ。今後も動きがあれば皆さんに紹介する。
- 平均的なエアコン(6畳用・冷房能力2.2kW・消費電力 約440W)を1日8時間、月20日運転する条件で電気料金を試算する。
消費電力440W のエアコンを8時間運転すると、電力量は
440Wx8時間=3.52kWh
になる。
平均的な電気代単価を約27円/kWh
とすると、月の電気料金は
電気量x電気代単価x稼働日
3.52kWhx27円x20日=1,890円
となる。
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